Hyperliquidのネイティブトークン「HYPE」を巡り、資産運用会社Bitwiseのマット・ホーガン最高投資責任者(CIO)が、年初来で約90%上昇した後もなお割安との見方を示した。非暗号資産分野への拡大や収益力を評価材料に挙げる一方、米商品先物取引委員会(CFTC)への登録を巡る規制対応が今後の焦点になるとみている。
20日付の報道によると、ホーガン氏はHyperliquidについて、2026年の大型暗号資産の中でも有力な投資対象になり得ると評価した。
背景には3つの要因がある。まず事業領域の広がりだ。Hyperliquidは永久先物取引所として始まったが、足元の取引高の約半分は商品やS&P 500先物、未上場株式など、暗号資産以外の分野が占めているという。ホーガン氏は、この比率が2026年末までに70%へ高まると見込んでいる。
次に収益力の高さがある。ホーガン氏は、Hyperliquidの年間売上高を8億〜10億ドルと推定した。収益は永久先物の取引手数料を中心に、現物手数料やビルダーコード手数料などで構成される。取引手数料の99%はHYPEの買い支えに充てられる仕組みで、トークン価値を支える構造が明確だとした。
時価総額との比較でも、なお評価余地があるとみる。Hyperliquidの時価総額は100億〜110億ドルで、年間売上高に対する倍率は10〜14倍になる計算だ。ホーガン氏はこれをRobinhoodやCME Groupの株価収益比率と比較した。もっとも、トークンは株式と法的権利が異なるため単純比較はできないとした上で、成長率を踏まえれば現在の価格水準はなお割安だと主張した。
Hyperliquidの成長シナリオは、米国の制度設計とも重なる。ホーガン氏は、ポール・アトキンス米証券取引委員会(SEC)委員長が昨年11月に示した「スーパーアプリ」構想と、Hyperliquidの拡張戦略は方向性が一致すると指摘した。単一ライセンスの下で複数の資産クラスを扱うプラットフォームが実現すれば、Hyperliquidが狙う市場は暗号資産にとどまらない。世界全体で600兆ドル規模の資産市場に広がる可能性があるという。
一方、成長期待と並行して規制面の圧力も強まっている。Bloombergによると、Intercontinental Exchange(ICE)とCME Groupは、HyperliquidをCFTCに登録させるよう当局や議会に働きかけている。両社は、本人確認(KYC)や売買監視の体制を欠いた匿名取引環境が、制裁逃れやマネーロンダリング(AML)、相場操縦の温床になり得ると問題視している。
市場規模の拡大も、こうした懸念を強めている。Artemisの集計では、Hyperliquidにおける原油関連商品の4月の日次平均取引高は7億ドルを超えた。イランを巡る紛争前は数百万ドル規模だったが、足元で急増したという。
Hyperliquid側も政策対応を急いでいる。共同創業者のジェフ・ヤン氏はX(旧Twitter)への投稿で、米議会でClarity法案の審議が進む中、ワシントンを訪れ、Hyperliquid Policy Centerとともに政策当局者と面会したと明らかにした。オンチェーン取引が世界的な需要に応える金融イノベーションである点や、米国の利用者にオンチェーンのデリバティブ市場を開放するための規制面での道筋を協議したと説明している。
相場操縦の可能性を巡っては反論も示した。Hyperliquid側は、全ての取引がブロックチェーン上でリアルタイムに公開される点を挙げ、操作リスクへの懸念を否定している。
今後の焦点は、CFTCが既存の規制をHyperliquidにそのまま適用するのか、それともDeFiに対応した新たな枠組みを設けるのかにある。規制の在り方次第で、事業拡大のスピードやHYPEの評価軸が変わる可能性がある。