Googleは、検索とGeminiを軸に、複数の小売事業者の商品を横断して管理できるAIショッピング機能「Universal Cart」を発表した。商品検索からカート追加、決済、条件付きの自動購入までをGoogle上でつなぎ、分散しがちな購買体験の一元化を狙う。
米ITメディアThe Vergeによると、同社は19日(現地時間)、開発者会議「Google I/O」で、カート統合、価格追跡、支払い方法の提案、AIによる購入代行を含むコマース機能を披露した。
Universal Cartは、検索やGeminiとの対話で見つけた商品をGoogle内のカートに追加し、そのまま決済まで進められるように設計した。まずは検索とGeminiに対応し、今後はYouTubeやGmailからも商品を追加できるよう対象を広げる予定だ。
カートのアイコンは、ユーザーのプロフィール写真の横に表示される。
Googleによると、この機能の狙いは分散した買い物体験の統合にある。広告・コマース部門の副社長兼ゼネラルマネジャー、ビドヤ・スリニバサン氏は、利用者が数日間にわたり複数のデバイスやアカウントをまたいで買い物を進める実態に触れ、「このプロセスを1つに集約することが鍵だ」と説明した。
同氏は、Universal Cartについて「Googleのサービス全体で、いつでもどこでも使えるカートになる」と強調した。
機能は単なる商品保存にとどまらない。カート内の商品について、値下げ通知や価格履歴の確認、在庫切れ商品の再入荷通知を受け取れる。
購入時の互換性チェックにも対応する。例えば、自作PCが初めてのユーザーが互換性のない部品を選んだ場合、システムが警告を表示する仕組みだ。
決済時には、Google Payを通じて小売事業者の会員プログラムとクレジットカードを連携し、より有利な支払い方法を提案する。Google内で決済しない場合でも、カート情報を小売事業者のWebサイトに引き継ぎ、そのまま購入を完了できる。
ビドヤ・スリニバサン氏は、小売事業者が自社サイト上で追加情報を提供でき、ユーザーはそこでより詳しい商品情報を確認できると説明した。
Googleはあわせて、条件に応じてAIが購入を実行する機能の拡充も進める。これまで検索のAIモードやGeminiアプリで直接購入機能を提供してきたほか、対象をホテル予約や地域のフードデリバリーにも広げている。
また、個人向けAIエージェント「Gemini Spark」では、好みのブランドや商品条件、予算などを設定しておけば、条件を満たした時点でAIが自動的に購入を実行できる。
この機能はAP2技術を基盤とし、AIが実際に購入を行う際には、承認手続きと記録を残す仕組みを備える。
ユーザーは商品条件と価格上限を設定でき、条件を満たした場合に自動購入が実行されるようにできる。
業界連携も広がっている。Googleは1月、Walmart、Shopify、Targetなどとともに、オープン標準の汎用コマースプロトコル(UCP)を発表した。4月にはAmazon、Meta、Microsoft、Salesforce、Stripeなどが運営委員会に加わった。
Googleは、自社システム経由の購入に手数料やコミッションを課さず、販売の記録主体にもならない方針を明らかにしている。
一方で、課題も残る。AIが予算条件に合う商品を選んでも、税金や送料を含めると、別の選択肢より割高になる可能性がある。
購入後に問題が起きた場合の対応主体はGoogleではなく、実際に販売する小売事業者となる。AIが提案にとどまらず決済まで担うには、消費者の信頼をどう確保するかが重要な課題になりそうだ。