ビットコインマイニング企業はAIデータセンター分野でも存在感を高めている。画像=Reve AI

ビットコインマイニング企業が、電力とデータセンター用地を強みにAIインフラ分野で存在感を高めている。AIデータセンターの新設・増設では、半導体の確保だけでなく電力アクセスが大きな制約になっており、すでに送電網に接続した拠点を持つ企業が優位に立ちやすい構図が鮮明になってきた。

ブロックチェーンメディアのCointelegraphが19日付で報じたところによると、投資銀行Bernsteinは、上場ビットコインマイニング企業が計画電力容量27GW超を保有していると分析した。あわせて、ハイパースケーラーや新興クラウド事業者、半導体メーカー向けに、計3.7GW規模のAI関連契約が公表されており、契約総額は900億ドルを超えるとしている。

Bernsteinが重視するのは、AIデータセンター拡張の制約要因が、もはや半導体だけではない点だ。足元では電力アクセスそのものが、AIデータセンター増設の主要なボトルネックになりつつあるという。

新たな送電網接続の承認には、4年以上かかる可能性がある。データセンター適地とされるテキサス州でも、電力会社は接続待ちの増加や系統負荷への対応のため、一括審査方式を採用しているとされる。

こうした環境下で、マイニング企業は相対的に優位に立つ。すでに送電網に接続された用地を運営しているうえ、高密度コンピューティング設備の運用経験も蓄積しているためだ。

さらに、大規模データセンターを巡る規制審査の厳格化や地域住民の反対が、新規案件の遅れにつながるケースもある。既存インフラを持つマイニング企業にとっては、こうした点も追い風になるとBernsteinはみている。

背景には、2024年のビットコイン半減期がある。採掘報酬の減少で収益性が悪化し、マイニング企業は新たな収益源の確保を急いできた。

Bernsteinによると、複数の企業がビットコイン採掘中心の事業構造から脱し、AIデータセンターや高性能コンピューティング(HPC)施設の開発へと軸足を移している。

事例として挙げたのがSoluna Holdingsだ。同社の1〜3月期売上高は58%増加し、増収分の相当部分はデータセンターホスティング事業によるものだったという。暗号資産マイニングの売上構成比は相対的に低下したとしている。

また、BernsteinはIRENを事業転換の代表例と位置付けた。IRENはMicrosoft(MS)と数十億ドル規模の契約を結んでおり、事業の相当部分をAIインフラへ転換できる段階にあると評価した。

Bernsteinは、IRENとMSの協業が同社の事業モデルを大きく変える可能性があるとみている。

米国の電力事情も焦点だ。RANDは4月に公表したリサーチブリーフで、米国が2030年までに約82GWの追加の利用可能電力容量を確保すると予測した。

ただ、AIデータセンター需要は急増している。市場では、先行して電力を確保した事業者とそうでない事業者との格差が広がる可能性がある。

このため、ビットコインマイニング企業の競争力を測る軸も、単純なハッシュレートから、電力資産や用地活用力へと移りつつある。半減期後の収益防衛にとどまらず、AIインフラ事業者として定着できるかが次の焦点になりそうだ。

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