暗号資産の上場投資商品(ETP)から先週、12億3000万ドル(約1845億円)が純流出した。一方で、ビットコインの長期保有残高は過去最高を更新しており、資金フローの悪化とは対照的に、オンチェーンでは売り圧力の低下を示す動きも出ている。
ブロックチェーンメディア「The Crypto Basic」が18日(現地時間)、Bitwiseの最新レポートをもとに報じた。レポートは、短期的な資金フローとオンチェーン指標が異なるシグナルを示していると分析している。
それによると、世界の暗号資産ETPは先週、12億3000万ドルの純流出となった。このうち、ビットコイン関連の投資商品だけで10億3000万ドル(約1545億円)超が流出した。
流出の中心はビットコイン現物ETFだった。21SharesのARKB、FidelityのWise Origin Bitcoin Fund(FBTC)、BlackRockのiShares Bitcoin Trust(IBIT)で資金流出が目立ち、これまで6週連続で続いていた資金流入基調は途切れた。
暗号資産投資商品全体で資金流出が広がるなか、投資家心理も悪化した。Bitwiseの暗号資産センチメント指数は、2025年5月以来の高水準から中立圏まで低下。暗号資産の恐怖・強欲指数も再び「恐怖」ゾーンに戻った。
一方、オンチェーンデータは異なる動きを示した。155日超にわたりビットコインを保有するウォレットの残高は約1485万BTCと、流通供給量の74.3%に達し、過去最高水準となった。
短期参加者から長期保有者へ保有が移ると、市場に出回る供給量は減りやすい。Bitwiseは、こうした保有構造の再配分は弱気相場の終盤にしばしばみられると指摘した。
ビットコインのセルサイド・リスク比率も、過去最低圏の水準まで低下した。Bitwiseは、こうした低流動性局面では、需要が回復した際に価格変動が大きくなりやすいとしている。
価格帯も重要な変数だ。ビットコインは現在、7万6000ドルから8万ドルの主要レンジで推移している。この水準は、短期保有者の平均取得単価である約7万8300ドルや、別の取得原価水準である約7万8600ドルと重なる。
一方、200日移動平均線の8万1800ドルは上値抵抗として意識されている。ビットコインは先週、この水準の回復を試したものの、市場予想を上回るインフレ指標や地政学リスクへの警戒から、再び押し戻された。
足元の売買はなお低調だが、Bitwiseは今後1〜2カ月の間に中長期的な底入れ局面が形成される可能性は残るとみている。短期資金の流出と投資家心理の悪化が続く一方で、供給面では売却されやすい残高がむしろ減っているためだ。
マクロ要因としては、日本国債市場の動向も注視すべき材料に挙げた。日本国債利回りの上昇と円安が、日本の政府債務の持続可能性を巡る懸念を強めているためだ。
日本の30年国債利回りは直近で過去最高を更新し、10年国債利回りも1990年代後半以来の高水準まで上昇した。市場では、債券市場への圧力が続けば、日銀など当局の対応が意識されるとの見方が出ている。
米国の政治・規制要因も、相場の次の方向性を左右する材料として挙げられた。ケビン・ウォーシュの次期米連邦準備制度理事会(Fed)議長就任観測に加え、クラリティ法案が超党派の支持を受けて上院銀行委員会を通過したことも材料視された。
Bitwiseは、ETPからの12億3000万ドル流出、ビットコイン長期保有残高の過去最高更新、日本国債市場のストレスといった複数の要因が、今後の市場心理とビットコイン相場の方向性を左右する可能性があるとみている。