世界のEV市場で、中国メーカーの攻勢が一段と鮮明になっている。価格競争力と量産能力を背景に海外展開を広げる一方、HondaやVolkswagenでは電動化計画の見直しや投入時期の後ずれが目立つ。Teslaも自動運転分野で展開を進める半面、安全性や運用の透明性を巡る議論を抱えており、各社の戦略には明暗が分かれている。
中国EVメーカーは、輸出拡大に加えて現地生産の布石も進め、欧州市場への浸透を急いでいる。BYDは4月の海外輸出台数が13万台を超え、存在感を高めた。Stellantisの欧州工場を取得する可能性も取り沙汰されており、現地拠点の拡充を急いでいる。
Xpengも輸出の急増を背景に、Volkswagenの欧州工場の取得を進めていると報じられた。さらに、中国では日本の軽自動車を参考にした小型・低価格EVの普及を後押しする動きも出ており、価格競争力を軸にしたグローバル戦略が具体化しつつある。
商用車分野でも電動化の定着が進む。ドイツでは、電動トラックを1年以上運用した57社を対象とする調査で、93%が車両に「満足」または「非常に満足」と回答した。商用車の電動化が実運用の段階で受け入れられつつあることを示した形だ。
一方、電動化の流れが続く中でも、日本や欧州の完成車メーカーではペース調整の動きが目立つ。HondaはEV事業で巨額損失を計上し、電動化目標の見直しを迫られている。米国市場でも戦略転換への圧力が強まっている。
Volkswagenも電動版「Golf」の発売を2028年以降に先送りした。主要メーカーのEVシフトでは、当初計画どおりに進まない事例が増えており、戦略全体の不確実性が強まっている。
Teslaは、自動運転技術の高度化と世界展開を並行して進めている。Cybercabの長距離走行による検証が伝えられる中、FSDでは「Smart Summon」機能の改善により速度が引き上げられた。欧州ではオランダに続いてベルギーにも展開を広げ、導入地域を拡大している。
その一方で、旧型のHW3搭載車はアップデート対象から外れ、世代間格差も浮き彫りになった。さらに、自動運転・AIを軸とするTeslaの戦略を巡っては、安全性と透明性への疑問も強まっている。FSD解除時に理由の提出を求める運用には「フィードバックの強制だ」との批判が出たほか、ロボタクシー事故17件の経緯公開では、遠隔操作中の衝突事例も明らかになった。
Teslaは価格とサービス面でも調整を進めている。米国ではModel Yの価格を最大1000ドル引き上げた。欧州では基本オートパイロット機能を除いたサブスクリプション型サービスの拡大を急いでいる。EVメーカーからAI企業への転換を加速するなか、投資家の不安もくすぶっている。
韓国のモビリティ業界でも、業績改善と技術転換が並行して進んでいる。Kakao Mobility、T map Mobility、Socarなどは、自動運転の実証データを活用して競争力を高める一方、ロボットプラットフォーム事業の拡大や異種ロボットの統合運用にも取り組んでいる。主要企業では成長基調が続いている。
高級EV分野では、Genesisの大型電動SUV「GV90」のコーチドア仕様が、偽装のない状態で目撃され注目を集めた。確認された車両は、ロールス・ロイスを想起させるコーチドアを採用しており、Genesisが超高級車市場の上位領域へ展開を広げる戦略と重なるとして関心を集めている。
Toyotaは、運転免許なしで乗れる1人乗りの電動モビリティ「Land Hopper」を2027年春以降に発売する計画だ。日本で進むパーソナルモビリティ規制緩和を追い風に、近距離移動の新市場を狙う。