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韓国でコンテンツ輸出の6割超を占めるゲーム産業が、制作費税額控除の対象から長年外れたままとなっている。映像コンテンツやWebtoonには同制度が適用されている一方、ゲームは対象外で、開発費の高騰を背景に中小ゲーム会社の経営破綻が相次いでいる。文化体育観光部が企画財政部に租税支出建議書を提出し、国会でも関連法案が発議されるなか、制度導入の行方に業界の関心が集まっている。

文化体育観光部が今年2月に公表した「2025年コンテンツ産業調査(2024年基準)」によると、韓国のコンテンツ産業全体の輸出額は140億7543万ドル。このうちゲーム産業は85億347万ドルで、全体の60.4%を占めた。

韓国は世界のゲーム市場で7.2%のシェアを持ち、世界4位に位置する。ゲーム産業は同国のコンテンツ輸出を支える中核分野だが、ゲーム制作に直接かかる費用を対象とした制作費税額控除は導入されていない。

現在、ゲーム業界では研究・人材開発費(R&D)の一部について税額控除を受けられるが、ゲームコンテンツの制作費を別枠で控除する制度はない。映画やドラマなどの映像コンテンツ、Webtoonには制作費税額控除が適用されているのに対し、ゲームは対象外のままだ。業界は数年前から制度化を求めてきたが、これまで国会での成立には至らなかった。

◆成長鈍化が鮮明に、中小の経営破綻も相次ぐ

輸出面での存在感とは対照的に、ゲーム産業の基盤は弱まりつつある。韓国コンテンツ振興院によると、2025年のゲーム産業の総売上高は24兆1240億ウォン(約2兆6536億円)で、前年比の伸び率は1.1%にとどまった。コンテンツ産業全体の成長率2.6%を下回り、音楽の15.8%、漫画の7.4%との差も大きい。ゲーム利用率も2024年の59.9%から2025年には50.2%へと9.7ポイント低下し、2021~2025年の年平均では6.8%下落した。

こうした影響は中小・中堅の開発会社で先行して表れている。昨年9月にリリースされた「Goddess Order」は配信開始から5~6週で更新が全面停止し、開発元のPixelTribeは同年12月に破産宣告を受けた。今年2月に配信した「Heaven Hells」はGoogle Playストアのダウンロードランキングで1位を記録したものの、売上ランキングは140位圏外にとどまり、開発元のClover Gamesは4月初旬に法人破産を申請した。初動売上の確保に失敗すると、アップデート縮小、ユーザー離れ、資金調達難が連鎖する悪循環に陥るケースが繰り返されている。

開発費の負担も年々重くなっている。PC、モバイル、コンソールをまたぐマルチプラットフォーム開発が一般化し、単一タイトルに数百億ウォン規模を投じる事例も増えた。人工知能(AI)の導入やグラフィックス高度化に伴うコストも重なり、負担は一段と増している。大手各社は専任組織や投資余力を背景にAI活用でコスト削減を進める一方、中小企業ではAI導入そのものが新たな負担になっている。業界では、税額控除のような政策支援がなければ、こうした構造格差はさらに拡大するとの見方が強い。

コンテンツ輸出の6割を担うゲーム産業が、映像コンテンツと異なり制作費税額控除の対象外に置かれている現状については、公平性の面でも問題だとする声が根強い。フランス、カナダ、英国など主要なゲーム先進国では、ゲーム制作費の一定割合を税額控除する制度がすでに導入されている。世界最大のゲーム市場である中国も、巨額の政策資金を投じて自国ゲーム企業の育成を支援している。こうした支援を受ける海外企業と、制作費税額控除のない国内企業が同じ条件で競争しているとは言い難い、というのが業界の主張だ。

◆文化体育観光部が要望書提出、国会でも法案審議へ

足元では、税額控除をめぐる議論が具体化しつつある。文化体育観光部は今年4月、ゲームコンテンツ制作費税額控除の導入を求める租税支出建議書を企画財政部に提出した。先月30日に開かれた文化芸術政策諮問委員会のゲーム分科第2次会議でも、税額控除の導入が主要議題の一つとして扱われた。

チェ・フィヨン文化体育観光部長官は同会議で、ゲーム産業がKカルチャーのコンテンツ輸出に占める比重の大きさに言及し、「税額控除は産業振興の一つの手段だ」と述べた。税収減少への懸念については、「税額控除で税収が減るという発想ではなく、産業振興によって付加価値を拡大するという観点から企画財政部と協議していく」と説明した。

チェ長官はまた、「コンテンツ輸出額の60%以上を担うゲーム産業の成長には、政府による集中的な投資と制度面での後押しがこれまで以上に切実だ」と強調した。

国会でも立法の動きが続いている。与党「国民の力」のパク・ソンフン議員は7日、制作費税額控除の対象をゲームや音楽など文化コンテンツ全般に広げる租税特例制限法改正案を代表発議した。

改正案には、継続的なアップデートが前提となるゲーム産業の特性を踏まえ、開発中のコンテンツでも当該課税年度に発生した費用を即時控除できるようにする内容が盛り込まれた。eスポーツ分野では、これまで首都圏外に限られていた大会運営費の税額控除を全国に拡大し、全試合の50%以上を非首都圏で開催する場合、控除率を従来の10%から最大30%に引き上げる条項も含まれている。

昨年も与野党議員が関連法案をそれぞれ発議したが、ゲームを含まないまま廃案となった。足元では、政界でもゲーム産業を将来のコンテンツ産業、ひいては国家競争力の強化分野とみなす認識が広がっており、最大野党「共に民主党」にゲーム特別委員会などの議論の場が整ってきた点も業界の注目を集めている。

業界では、税額控除が導入されれば年間2000億ウォン(約220億円)以上の支援効果が見込めると試算する。大手だけでなく中小開発会社でも制作費負担の軽減が期待でき、新作投資の活性化や知的財産(IP)開発の拡大につながるとの見方が出ている。

これに対し企画財政部は、ゲーム業界がすでにR&D税額控除など既存の税制支援を受けている以上、制作費税額控除まで導入すれば重複支援になりかねないとの立場を示している。業界側は、R&D税額控除は技術開発に限られるのに対し、制作費税額控除はキャラクターデザインやストーリー企画、サウンド制作など、実際のコンテンツ制作費全般を対象とするもので、制度の目的と範囲は本質的に異なると反論している。

今後の焦点は、税額控除による減収分を、産業活性化で生まれる付加価値がどこまで補えるかに移る見通しだ。

起業初期やインディーゲーム向けの支援策はあるものの、中小企業が中堅へ、中堅企業が再びグローバル市場へ挑戦する段階を支える政策はなお不十分とされる。中小開発会社の破綻は、単に一企業の退出にとどまらず、新たなIPやジャンル、次世代の開発人材が育つ土壌そのものを狭めかねない。文化体育観光部の要望書提出と国会での法案発議が、企画財政部の判断を動かすかが今回の議論の分水嶺となりそうだ。

業界関係者は「中小開発会社の破綻が続き、開発プロジェクトの中断事例も増えている。税額控除のような制度的支援がなければ、新たなIPやジャンルが生まれる余地そのものが狭まりかねない」としたうえで、「ゲーム産業のエコシステムを支える最低限の政策基盤が必要な局面だ」と話している。

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