キム・ヨンス Hancom代表(写真=Hancom)

Hancomは5月19日に開いた記者懇談会で、ソブリン・エージェンティックOS構想を説明し、6月にβ版を公開すると明らかにした。2027年の正式提供を目指す。キム・ヨンス代表は、ODLのオープンソース化、AX導入実績、AI関連売上の拡大などを挙げ、競争力を訴えた。

同社は社名を「Hancom」に改め、経営資源をAI事業へ集中させる方針だ。中でも、ソブリン・エージェンティックOS企業への転換を加速する。

同社が描くエージェンティックOSは、業務を実行するAIエージェントの開発・共有を単一プラットフォーム上で支援するものだ。認証、権限管理、データアクセスも統合し、組織内データと外部AIモデル、既存の業務システム、権限体系を安全な環境で接続・統制する統合基盤として位置付ける。

6月にβ版を公開し、下半期には顧客環境で検証したバージョンを投入する計画だ。正式提供の目標時期は2027年としている。

企業向けにカスタムAIエージェントの作成・管理基盤を提供する構想自体は珍しくない。グローバル企業を含め、同様のビジョンを掲げる企業が増えるなか、焦点は「エージェンティックOSへの参入」そのものではなく、Hancomがどう差別化するかにある。

この点についてキム・ヨンス代表は、「遠い将来の青写真ではなく、すでに実績と技術で証明している」と強調した。

同氏によると、ソブリン・エージェンティックOSは6層構造で設計しており、Hancomはこのうちレベル1、4、6で競争力を持つという。

レベル1は非構造データ基盤に当たり、社内文書をAIが読み取れるデータへ変換する技術を担う。レベル4はシステム実行層で、内外のシステムを接続して実業務を動かす統合エンジンと位置付ける。レベル6はデータ主権管理層で、キム・ヨンス代表は「公共・国家レベルで検証されたセキュリティ統制技術であり、政府、公共機関、教育機関向けに36年間事業を続けてきた実績は、競合が容易に追随できない領域だ」と述べた。

差別化策の一つとして、オープンソース戦略も掲げる。代表例として、PDFからデータを抽出して構造化するOpen Data Load(ODL)をオープンソースとして公開した点を挙げた。

キム・ヨンス代表は「2026年3月に発売したODLバージョン2.0は、ベンチマーク4項目でいずれも世界首位を記録した。総合スコアは90%、読み順は94%、表抽出は93%、タイトル認識は83%で、競合製品を上回った」と説明した。

また、AIトランスフォーメーション(AX)の実証データも強みとして前面に出す。キム・ヨンス代表は「AX事業を段階的に検証してきた経験があり、公開と事業化を通じて自社の基盤技術の検証を終えた。Hancom自身が大規模なAX実証環境になっている」と述べた。そのうえで、「外部AIエージェントを社内に導入し、750件超の業務効率化事例を確保した。外部パイロット案件や国内図書館のAI事業など、大規模なAXリファレンスも獲得している」と語った。

同日の懇談会では、20万規模の顧客基盤を背景にAI関連売上が急拡大している点も、差別化要因として挙げた。

キム・ヨンス代表は「中央省庁は100%、全国の教育庁も100%、金融・セキュリティに敏感な産業の約1500社がすでに顧客だ」と説明した。さらに「2025年のHancom単体売上高は1753億ウォンで、前年比162億ウォン増加した。このうち54.6%をAI関連売上が占めた。新規顧客の獲得コストをかけず、既存顧客基盤の中で規模拡大と収益性の両立が可能な構造だ」と述べた。

同社はソブリン・エージェンティックOS市場の開拓に向け、オープンアーキテクチャも重要なキーワードに据える。

キム・ヨンス代表は「自社LLMの開発に固執せず、データ基盤、実行、オープン性、ガバナンス環境の統合に集中する。LLMは顧客が自由に選べるよう、中立的な構造を支援する」と説明。「Palantirが自社LLMを持たず、データ統合プラットフォームとエージェント基盤を組み合わせて世界市場を狙ったのと同様のアプローチだ」と述べた。

キーワード

#Hancom #AI #ソブリン・エージェンティックOS #ODL #オープンソース #AX #LLM
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.