Teslaの評価は販売実績だけでなく、AIやエネルギー事業への転換速度も焦点となっている(写真=Shutterstock)

Teslaの長期投資価値を巡り、市場の見方が再び割れている。車両販売の成長は鈍化しているが、自動運転やAI、エネルギー事業の拡大期待が企業価値を下支えしているためだ。高いバリュエーションを正当化できるかどうかを巡り、強気と慎重の両論が交錯している。

The Crypto Basicが18日に報じたところによると、Teslaの株価は15日終値で1株422.24ドル、時価総額は約1兆5900億ドルだった。足元の業績よりも、今後の事業拡大への期待が株価を支えるとの見方が出ている。

焦点の一つは割高感の強いバリュエーションだ。Teslaの株価収益率(PER)は約390〜406倍で、伝統的な自動車メーカーはもちろん、主要テック企業と比べても高水準にある。2025年通期の売上高は約948億ドル、車両引き渡し台数は約164万台で前年比8.6%減となった。自動車事業だけを見ると、成長の減速が鮮明になっている。

もっとも、足元では一部に持ち直しの動きも見える。1〜3月期の車両引き渡し台数は35万8023台、生産台数は40万8386台だった。売上高は前年同期比16%増の223億9000万ドル、純利益は17%増の4億7700万ドル。Non-GAAPベースの1株利益(EPS)は0.41ドルだった。

成長ドライバーとして存在感を増しているのがエネルギー事業だ。Teslaは1〜3月期に8.8GWhのエネルギー貯蔵設備を展開し、四半期ベースで過去最高を更新した。2025年通期では46.7GWhを供給した。市場では、Megapackの増産が本格化すれば、エネルギー事業の比重がさらに高まる可能性に注目が集まっている。

一方で、車両需要の鈍化を懸念する声は根強い。生産台数が引き渡し台数を約5万台上回り、在庫日数が27日まで伸びたためだ。一部地域ではEV需要に下押し圧力がかかっている兆候と受け止められている。

こうした状況を受け、市場の評価は二極化している。競争激化と成長鈍化に直面するEVメーカーとみる向きがある半面、自動運転、AI、エネルギーインフラを組み合わせたプラットフォーム企業として評価する見方もある。

長期投資の期待を支える中核は、ソフトウエアとAI関連事業だ。FSD(Full Self-Driving)の利用者は推計で100万人超、有料加入者は約110万〜130万人とされる。Teslaは膨大な走行データも強みとしており、市街地走行データ約38億マイルをはじめとする大規模な自動運転学習データの蓄積が競争力として意識されている。

新規事業への期待も続く。Teslaは2026年に少なくとも9都市でロボタクシーサービスを導入する計画で、ヒューマノイドロボット「Optimus」も限定的ながら生産可能になるとの見方がある。強気派の一部は、Teslaを単なる自動車メーカーではなく、「フィジカルAIプラットフォーム」と位置付けている。

ただ、ウォール街の見方はなお慎重だ。主要金融プラットフォームにおける平均投資判断はおおむね「保有」にとどまり、12カ月先の目標株価も395〜413ドルに集中している。現在の株価と同水準か、やや下回る水準だ。

強気派の代表格として知られるのが、Wedbush Securitiesのダン・アイブス氏だ。同氏は2026年をTeslaの「ブレイクアウトの年」と位置付け、目標株価600ドルを提示した。Stifelも買い判断とともに目標株価508ドルを示し、ロボタクシー拡大やFSDの改善、Optimusの生産計画などを根拠に挙げた。

これに対し、弱気な見方も根強い。GLJ Researchは売り判断とともに目標株価24.86ドルを提示し、JPモルガンも目標株価145ドルで「アンダーウエート」を維持した。設備投資の増加、EV需要の鈍化、自動運転事業の収益化がなお不透明な点を懸念材料としている。

株価の推移も、高い成長期待と大きな変動性を映している。Teslaは2010年の上場時、1株17ドルだったが、株式分割を反映すると約1.27ドル水準となる。その後、2021年11月に414ドルまで上昇し、2023年1月には101ドルまで下落した。さらに2024年12月には488ドルの過去最高値を付けた。

2026年に入ってからは、1〜3月に18.8%下落して400ドルを割り込んだが、4月は2.66%上昇し、5月に入ってからは10%以上反発した。それでも年初来では約6%安、高値比では約13%下回る水準にある。

Teslaの長期投資先としての評価は、足元の自動車販売実績よりも、今後の実行力をどこまで示せるかにかかっている。ロボタクシーの展開、Optimusの開発、エネルギー事業の拡大が計画通り進めば現在の企業価値を支える余地はあるが、期待を下回れば高いバリュエーションが逆に重荷となる。技術・エネルギー企業への転換を実績で示せるかどうかが、評価を分ける最大のポイントとなりそうだ。

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