暗号資産市場の制度整備を巡る「CLARITY Act」は、議会通過のハードルが高いとみられている。写真=Shutterstock

米上院で審議中の暗号資産市場構造法案「CLARITY Act」について、8月までに本会議採決に持ち込めなければ、中間選挙後に成立機運が大きくしぼむ可能性がある。Cointelegraphが18日付で報じた。NYDIGのリサーチ責任者、グレッグ・チポラロ氏は、上院での実質的なタイムリミットを6月から8月初旬までとみている。

CLARITY Actは、米規制当局が暗号資産市場をどの枠組みで監督するかを定める法案で、2026年の米議会における主要な暗号資産関連法案の一つと位置付けられている。ただ、ステーブルコイン条項や公職者による暗号資産利用を巡る修正要求が相次ぎ、審議は遅れてきた。

これに先立ち、ホワイトハウスの高官暗号資産アドバイザー、パトリック・ウィット氏は今月初め、法案成立の目標時期として7月4日を示していた。上院委員会での修正審査から本会議採決、下院採決まで進める時間は十分にあるとの見立てだったが、チポラロ氏はこれを、厳格な立法期限というより「希望的観測に近い目安」と受け止めている。

上院銀行委員会は長期の遅れを経て修正審議を終え、法案は本会議送りとなった。委員会採決はおおむね党派に沿った形だったという。

もっとも、本会議で審議の長期化を避けて法案を通すには60票が必要となる。上院で共和党は53議席を持つため、迅速な可決には民主党から少なくとも7人の賛成が欠かせない。ただ、一部の民主党議員は、犯罪や制裁逃れを防ぐ仕組みが十分ではないとみている。

日程面の制約も大きい。米議会は7月末から9月初旬まで休会に入り、その後は11月の中間選挙を控えた政治日程が本格化する。

チポラロ氏は、こうした状況下で上院指導部が法案を本会議に上程し、60票を確保できる可能性は高くないとみる。8月までに処理できなければ、選挙後のレームダック会期が事実上の最後の機会になるとの見方だ。

ただし、そのシナリオにも前提条件がある。チポラロ氏は、8月の採決機会を逃した場合の有力な通過ルートは選挙後のレームダック会期だとしつつも、共和党が上院多数を維持し、ジョン・スーン院内総務が政府予算の期限対応より同法案を優先課題として扱う場合に限られると指摘した。

世論調査で上院の主導権争いが接戦となっていることも、不透明感を強めている。共和党優勢を見込む向きがある一方、激戦州の結果次第では民主党が上院多数を奪い返す可能性もある。

民主党が上院多数派に返り咲いた場合、共和党主導のCLARITY Actは、2027年1月に始まる次期議会で前進しにくくなる可能性が高い。立法の主導権が移れば、法案の中身や優先順位も変わり得るためだ。

市場の関心は、法案の成否が機関投資家マネーの流入期待に直結している点にもある。チポラロ氏は、法制化によって法的な明確性が高まり、主要な機関投資家が暗号資産市場により安心して投資できるようになるとみている。

特にビットコインについては、米商品先物取引委員会(CFTC)の所管する「商品」に分類されることで、機関投資家の資産クラスとして残っていた重要な規制上の不確実性が解消され得ると述べた。

一方で、倫理条項や分散型金融(DeFi)の執行規定を巡る交渉が再び停滞したり、議事日程の遅れが重なったりすれば、法案そのものが廃案となる可能性も残る。その場合、暗号資産業界は、チポラロ氏の表現を借りれば「恒久的な所管の不明確性」を抱えたまま事業運営を続けることになる。

今後の焦点は、民主党からどこまで賛成票を積み増せるか、そして上院指導部が8月までに本会議採決の日程を実際に設定するかにある。

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