米国政府がビットコイン(BTC)戦略準備金の創設に向けた法的整理をほぼ終え、保管インフラの整備も進めていることが分かった。市場で期待が強かった大規模な新規購入ではなく、すでに保有する押収ビットコインの保管・管理体制の強化が当面の柱になるとの見方が強い。
ブロックチェーンメディアのCoinpostが19日(現地時間)に報じたところによると、トランプ政権でデジタル資産諮問委員会の事務局長を務めるパトリック・ウィトは、ビットコイン戦略準備金の設立に向けた法的ハードルを越え、資産保管インフラの整備も完了したと明らかにした。正式発表は近いとも述べたという。
焦点となっているのは、米政府がすでに確保している大量のビットコインをどう保管し、管理するかだ。米政府は過去の犯罪捜査や資産差し押さえを通じて、ビットコイン供給量の約1.6%に相当する約32万8372BTCを保有しているとされる。
2025年3月に署名された大統領令では、政府保有ビットコインの売却が禁じられた。これ以降、政権内では準備金創設に向けた制度設計が進められてきた。今回の発言は、準備金構想が単なる政策メッセージではなく、実際の運用体制づくりの段階に入ったことを示すものと受け止められている。
一方で、課題として浮上しているのがセキュリティ対策だ。従来は米連邦保安官局の管理下にあった暗号資産の一部で流出が発生し、既存の管理体制だけでは対応しきれないとの懸念が強まった。2024〜2025年には約7000万ドル(約105億円)相当のデジタル資産が不正流出したとされ、政府内では専用の暗号鍵管理システムと独立した保管体制の必要性が高まっている。
もっとも、市場が期待してきた政府主導の積極的なビットコイン購入とはなお距離がある。現在示されている方向性は、新規購入ではなく、既存の押収資産の保全を優先する内容に近い。パトリック・ウィトは4月に開催された「ビットコイン2026カンファレンス」でも同様の進捗に触れたが、具体的な買い入れ計画は示していない。
連邦議会での議論も進んでいない。米政府が年間20万BTCを購入できるとする法案は提出されているが、政治的対立が続くなか、成立の可能性は高くないとの見方が大勢だ。
このため、今後の正式発表も、新たなビットコイン買い増し策より、既存保有分を国家資産としてどう管理・保管するかに重点が置かれる可能性が高い。追加の予算措置を伴わない中立的な資産管理の枠組みが基本線とされる以上、市場への直接的な買い需要にはつながりにくいとの分析も出ている。
業界では、米政府がビットコインを公的資産として本格的に位置付けるための基盤整備として一定の意義があるとの受け止めが出ている。ただ、市場の期待とは異なり、短期的に大規模な新規購入が現実化する可能性は低いとの見方が優勢だ。