中国の通信各社は、AIモデルの利用をトークン単位で課金する動きを広げている。写真=Shutterstock

中国の通信各社が、モバイルデータに続く新たな課金単位として「AIトークン」の導入を進めている。通信回線の提供にとどまらず、AIモデルの利用そのものを料金プランに組み込み、AIサービスを新たな収益源として育てる狙いがある。

香港メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が18日付で報じたところによると、China Telecomは一般利用者、開発者、企業顧客向けに、トークン課金型のAI料金プランを全国で開始した。

プランは、日常利用向けと開発・業務利用向けに分かれる。個人向けは月額9.9元で1000万トークン、上位プランは月額49.9元で最大8000万トークンを利用できる。法人向けはコーディングやAIエージェントの展開機能を含み、月額39.9元から299.9元までで、最大2億5000万トークンを提供する。

トークンは、生成AIモデルが処理・生成するテキストやコード、データの基本単位。チャットボットへの質問やコード修正、画像生成などの利用に応じて消費される。一般に1トークンはテキスト約4文字、または単語の約4分の3に相当するとされる。

China Telecomは自社AIモデル「TeleChat」に加え、Zhipu AIの「GLM-5」や「DeepSeek-V3.2」など、外部モデルへのアクセスもあわせて提供する。通信接続の強化やサイバーセキュリティ機能は、追加の選択サービスとして用意した。

コウ・ルイユエン会長は声明で、「当社はデータ接続中心の事業から、インテリジェントサービス中心の構造へ転換している」と説明し、トークン課金を中核戦略の一つに据えた。

同様の動きは他社にも広がっている。China Unicomの上海支社は顧客向けにトークン課金を導入し、China Mobileも4月から複数地域で関連商品の販売を始めた。吉林省では、月額15元で750万トークンを提供する商品も登場している。

通信各社は、複数のAIモデルへのアクセスをまとめて提供する、AIプラットフォームのアグリゲーターに近い役割を担いつつある。一方、独立系のAI企業は自社モデルに基づく独自の課金体系を維持している。例えばDeepSeekは、「DeepSeek V4-Flash」モデルについて、キャッシュ済みデータの処理を100万トークン当たり0.02元、新規結果の生成を最大2元としている。

こうした動きの背景には、中国国内で急増するAI利用がある。中国国家統計局によると、今年3月の1日当たりのトークン呼び出し件数は140兆回を超え、2024年初めに比べて約1000倍に増えた。通信各社は、かつてのモバイルデータと同様に、トークンを請求可能な標準単位に育てようとしている。

通信業界の収益モデルもこれに合わせて変わり始めた。China Telecomはトークン商品を全国展開し、AIサービスを通信料金体系に組み込んだ。China UnicomとChina Mobileも地域単位で実証を広げている。従来のデータ接続販売中心のモデルからAIサービス販売へ軸足が移るなか、今後はどのAIモデルを、どれだけ低コストで組み合わせて提供できるかが競争の焦点になりそうだ。

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