ピーター・シフ氏(写真=ウィキメディア)

経済学者でビットコイン(BTC)に懐疑的な立場で知られるピーター・シフ氏が、ビットコインをニューヨークの超高層ビルになぞらえるマイケル・セイラー氏の主張に反論した。シフ氏は、不動産は家賃収入を生む一方で、ビットコインの保有自体はキャッシュフローを生まないとし、両者を同列には扱えないと訴えている。

ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、シフ氏は18日(現地時間)、X(旧Twitter)でセイラー氏の比喩を批判した。ビットコインには「次の取引」しかなく、保有しているだけでは収益は発生しないというのが同氏の主張だ。

今回の応酬は、ビットコインを価値保存手段とみるか、それとも生産性を伴わない投機資産とみるかという、従来からの論争を改めて浮き彫りにした。

セイラー氏はこれまでも、ビットコインをマンハッタンの不動産に例えてきた。自身が率いるStrategyのビットコイン保有分について、値上がり益が見込め、追加借り入れの担保にも使える「デジタルの超高層ビル」と位置付けている。

ラスベガスで開かれた「Bitcoin 2026」でも、セイラー氏はこの考え方を改めて強調し、1兆ドル規模のビットコイン中心のバランスシート構築を目標に掲げた。

最近の開示によると、Strategyの保有量は81万5061BTC。平均取得単価は7万5528ドルという。同社はSTRCやSTRFなどの優先株を通じて資金調達を進めてきた。

ビットコイン高を前提に長期資本を積み上げ、その資金を追加購入に振り向けるのが同社の基本戦略だ。

これに対し、シフ氏は戦略の土台そのものに疑問を呈している。不動産会社であれば家賃収入を債務返済の原資に充てられるが、ビットコインを軸にした財務戦略は、価格上昇や新たな資金調達、あるいはその両方に依存せざるを得ないという見方だ。

シフ氏は以前、StrategyのSTRCを「中央集権型のポンジ」と呼んだこともある。さらに、米証券取引委員会(SEC)は同商品のマーケティング手法を反詐欺の観点から調査すべきだと主張していた。

市場環境も論争の背景にある。ビットコインは足元で7万6900ドル台と、Strategyの平均取得単価をわずかに上回る水準で推移している。

足元で価格が大きく崩れていないため、セイラー氏の戦略はなお維持されている。ただ、上昇余地が限られる局面では、借り入れや資本調達を前提に保有を積み増すモデルの妥当性が、これまで以上に厳しく問われる可能性がある。

両者の立場の違いは鮮明だ。セイラー氏は、希少性と銀行信用へのアクセスを背景に、ビットコインが現代経済の中核資産になり得るとみる。一方のシフ氏は、キャッシュフローを生まない点こそが決定的な弱点だとみている。

この論争は単なる舌戦にとどまらない。ビットコインをどの資産として位置付けるのか、また企業によるビットコイン財務戦略がどの条件下で持続可能なのかという論点に広がっている。

Strategyを注視する市場参加者にとっても、今回の応酬は、価格上昇に依存するモデルと、継続的な収益を生む資産を基盤とするモデルの違いを改めて意識させる材料となっている。

シフ氏は「ニューヨークの超高層ビルを持てば多額の家賃収入が得られる。ビットコインを持っていても何も生まれない。そこが決定的に違う」と主張している。

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