【ラスベガス】Dell Technologiesは18日(現地時間)、米ラスベガスで開いた年次イベント「Dell Technologies World 2026(DTW 2026)」の基調講演で、NVIDIAと連携する「NVIDIAベースのDell AI Factory」の強化策を発表した。講演にはNVIDIAのジェンスン・フアンCEOもサプライズで登壇し、両社のAI分野での協業を強く印象付けた。
今回の発表は、コンピューティング、ネットワーキング、ストレージ、ソフトウェア、サービスを含むAI基盤を拡充し、企業のAI導入から運用、成果創出までを支えるのが狙いだ。
◆フアンCEO「いま初めて、本当に役立つAIの時代に入った」
基調講演のハイライトは、フアンCEOの登壇だった。当初は映像での参加が見込まれていたが、本人がステージに姿を見せると会場は大きな歓声に包まれた。マイケル・デル会長兼CEOはフアンCEOを「素晴らしいパートナーであり友人、AI時代の真のリーダーでありビジョナリー」と紹介した。
フアンCEOは、生成AIがエージェンティックAIへと進化しつつあると強調した。AIは単にコンテンツを生成する段階を超え、複数のツールを使いながら作業を支援する局面に入りつつあるという。フアンCEOは「生成AIはコンテンツを作るだけでなく、推論や計画にもつながる。いま私たちは初めて、実際に有用なAIを手にした」と述べた。
さらに、エージェンティックAIでは、作業結果を確認しながらより良い計画を立てるプロセスを繰り返すため、企業のAI需要を大きく押し上げていると説明した。「単に質問に答える場合に比べ、必要な演算量は100倍、1000倍に増える。ソフトウェア開発では、チームが1カ月かける作業をこなすこともある」と語った。
◆「Dell AI Factory」を高度化、自律型AIエージェントの構築を後押し
フアンCEOは、AIが企業の業務の進め方そのものを変えつつあるとも指摘した。ソフトウェア開発や品質管理など、社内業務全般でAIエージェントの活用が広がっているという。「今日の優れたエンジニアはエージェントと一緒に働く。将来、本当に優れたエンジニアは複数のエージェントをオーケストレーションするようになる」と述べた。
Dellもこうした流れに合わせ、「NVIDIAベースのDell AI Factory」を強化した。Dell AI Factoryは、信頼できるデータと制御可能なインフラを基盤に、企業がAIを安全に構築し、用途に応じて拡張できるよう設計したポートフォリオとして位置付ける。
あわせて、ローカル環境で自律型AIエージェントを運用できる「Dell Deskside Agentic AI」も公開した。Dellの高性能ワークステーションとNVIDIA Nemocloudを基盤に、データを社外に持ち出すことなくAIエージェントを安全に実行できるよう支援する。自律型AIエージェント向けのセキュアランタイム「NVIDIA OpenShell」も、Dell AI Factory全体に適用する。
◆AIデータ基盤を強化、企業のAI活用を支援
Dellは、企業データをAI活用に適した資産へ転換する取り組みにも力を入れる。Dell AI Data Platformでは、オーケストレーション機能と検索機能を強化し、数十億件の非構造化ファイルをインデックス化して、ガバナンスベースのデータパイプラインに接続できるようにした。
StarburstベースのDell Data Analytics Engineは、NVIDIA Blackwell GPU上で最大6倍高速なSQLクエリ性能を提供する。今後はNVIDIA Veraプラットフォームにも対応する予定だ。
次世代インフラとしては「Dell PowerRack」も披露した。コンピューティング、ネットワーキング、ストレージを統合システムとして設計したラック単位のソリューションだ。新たに発表した「Dell AI Ecosystem Program」では、AIソフトウェア企業がDell AI Factoryのインフラ上で自社ソリューションを検証できるよう支援する。DellはGoogle、OpenAI、Palantirなどと協力し、オンプレミスおよびハイブリッド環境での企業向けAI活用を広げる方針だ。
基調講演の終盤には、フアンCEOがDell PowerRack製品に自らサインし、両社の緊密な協力関係をアピールした。フアンCEOは「エージェンティックAI時代が本格化し、企業のAI導入は爆発的な成長局面に入っている。DellとNVIDIAは、デスクトップからデータセンターまで拡張可能なフルスタックのAIファクトリーを共同で構築している」と述べた。
マイケル・デル会長は「Dell Technologiesは、顧客がセキュリティ、ガバナンス、コスト効率を自ら管理できるインフラの上で、データをAIの燃料へと変えられるよう支援している。NVIDIAとの卓越したパートナーシップと、顧客のために共に進めてきた取り組みを大切にしている」と語った。