【ラスベガス】Dell Technologiesは18日(現地時間)、NVIDIAと連携して「Dell AI Factory(NVIDIA基盤)」を刷新したと発表した。デスクサイドのエージェンティックAIからAIデータ基盤、ラック統合インフラ、ソフトウェアエコシステムまでを拡充し、企業によるAI活用の本番導入とガバナンス強化を支援する。
同社は同日、米ラスベガスで年次イベント「Dell Technologies World 2026(DTW 2026)」を開催した。Dell AI Factoryは、企業が信頼できるデータと制御可能なインフラを土台にAIを構築し、用途に応じて拡張できるよう設計したポートフォリオとして展開している。
◆「Dell AI Factory」を刷新、エージェンティックAIを拡充
今回の刷新では、エージェンティックAI、AIデータ基盤、次世代インフラ、オープンなエコシステムを強化した。新たに投入する「Dell Deskside Agentic AI」は、ローカル環境で自律型AIエージェントを構築・運用できるようにし、企業データの外部持ち出しを抑える。
Dellによると、Dell Deskside Agentic AIは同社の高性能ワークステーションとNVIDIA NIMを基盤に提供する。データを外部に出さずに自律型AIエージェントを安全に実行できる点が特徴で、変動の大きいクラウドのトークンコストを、見通しやすいインフラ投資に置き換えられるとしている。
自律型AIエージェント向けのセキュアなランタイム「NVIDIA OpenShell」も、Dell AI Factory全体に適用する。Pro Precision Tower、Pro Max with GB10・GB300、PowerEdge XEサーバ群など幅広い環境でAIエージェントを展開し、ガバナンスを適用できるようにする。
◆AIデータ基盤を強化、PoCから本番展開への移行を支援
企業データをAI活用に適した資産へ転換する取り組みも進める。Dellは「AIデータプラットフォーム統合サービス」を通じて、データ準備、人材不足、運用の複雑さといった課題に対応し、AIのPoCを本番環境へ迅速に移行できるよう支援する。
AIデータプラットフォームでは、オーケストレーションと検索機能を強化した。数十億件規模の非構造化ファイルをインデックス化し、ガバナンスに基づくデータパイプラインに接続できるようにした。Starburstベースの「Dell Data Analytics Engine」は、NVIDIA Blackwell GPU上でSQLクエリ性能を最大6倍に高め、今後はVeraプラットフォームにも対応する予定だ。
ストレージ製品も発表した。「Dell ObjectScale X7700」は、前世代比で最大45%高いHDD容量を提供する。NVIDIA基盤のAIデータプラットフォーム向けストレージと検索エンジンをNVIDIA Omniverseライブラリと統合し、スケールアウト型オブジェクトストレージとセマンティックベクトル検索を提供する方針だ。
これにより、製品ライフサイクル管理(PLM)システムや各種データリポジトリをOmniverseに直接接続し、デジタルツインやフィジカルAIの学習を支援するとしている。
◆PowerEdgeとPowerRackでデータセンター基盤を拡充
Dellは、エンタープライズ向けAIワークロードに最適化した新システムを追加し、AIインフラのポートフォリオを拡大した。新たに「Dell PowerRack」を投入し、次世代AIインフラの導入を後押しする。
Dell PowerRackは、コンピューティング、ネットワーキング、ストレージを単一の統合システムとして設計したソリューション。熱設計や電力管理、ソフトウェア最適化を設計段階から織り込み、個別機器を組み合わせる際に生じる統合負荷を抑えつつ、企業向けのAIおよびHPCワークロードに対応する。
PowerRackのストレージとネットワーキングには、工場で統合した専用のDell ExasScale StorageとDell PowerSwitchを採用する。システム全体で性能、消費電力、冷却を最適化し、すべてのリソースをDell Integrated Rack Controllerで一元管理する。
次世代冷却技術も披露した。「Dell PowerCool CDU C7000」は4U・19インチラック対応の冷却分配装置で、NVIDIA Vera Rubin NVL72プラットフォームの冷却要件を満たすよう設計した。冷却能力を拡張したほか、最大40度の施設冷却水にも対応するという。
◆エコシステム拡大へ新プログラム、OpenAIやPalantirとも連携
AIソフトウェアのエコシステム拡大も進める。新たに発表した「Dell AI Ecosystem Program」は、AIソフトウェア企業がDell AI Factoryインフラ上で自社ソリューションを検証できるよう支援するもので、概念実証(PoC)から本番運用へ移行する際のリスク低減を見込む。
Google Distributed Cloudを通じて、Gemini 3 FlashモデルをDell PowerEdge XE9780サーバ上で実行できるよう協業する。OpenAIとはOpenAI Codexベースのソリューションを共同開発しており、これをDell AI Data Platform(AIDP)と統合し、OpenAIの最新エージェンティック実行フレームワークをオンプレミス環境で提供する計画だ。
PalantirのFoundryとAIプラットフォームは、Dell AI Factoryのオンプレミス環境で提供する。Dellは、Palantirのオントロジー層をDell ObjectScaleとPowerFlex上に構築し、社内データの連携とAIによる業務プロセス自動化を支援するとした。
SpaceXAIとも協業し、Grokの高度な推論機能とマルチモーダル機能を、企業向けAIアシスタントとして提供する。
マイケル・デル会長は「エージェンティックAIの台頭により、インテリジェンスを迅速に具体的な事業成果へ結び付けられない企業は競争力を失う」と述べたうえで、「Dellは、顧客がセキュリティ、ガバナンス、コスト効率を自ら管理できるインフラ上で、データをAIの燃料へ変える取り組みを支援する」と語った。
一方、ジェンスン・フアンNVIDIA CEOは初日の基調講演にサプライズ登壇し、大きな注目を集めた。フアン氏はDell PowerRackにサインし、両社の協力関係をアピールした。
フアン氏は「エージェンティックAI時代の本格到来を受け、企業のAI導入は爆発的な成長局面に入っている」と述べ、「DellとNVIDIAは、デスクトップからデータセンターまで拡張できるフルスタックのAIファクトリーを共同で構築している」と強調した。