人工知能(AI)向け半導体需要の拡大を背景に、Roundhillのメモリー半導体ETF「DRAM」への資金流入が加速している。米CNBCは5月15日(現地時間)、金融データ分析会社TMX VettaFiのデータを基に、同ETFの運用資産が上場から43日で98億ドルに達し、ETFとして最短記録を更新したと報じた。
この動きは、AI市場の急成長を受け、半導体分野の中でもメモリー関連に投資マネーが集中していることを映している。AIインフラの整備に欠かせないメモリー半導体を巡っては、関連企業や投資商品の注目度が急速に高まっている。
市場関係者は、短期間で資金が集まった背景として、高帯域幅メモリー(HBM)やAI向けDRAMを供給できる企業が限られている点を挙げる。AIインフラの中核を担う部材を少数の企業が握る供給構造が、資金流入を後押ししたとの見方だ。
RoundhillのCEO、デイブ・マザ氏は、「投資家は、AIインフラ構築における最大のボトルネックがメモリー半導体だと明確に認識し始めている」と述べた。足元のメモリー市場はかつてない供給不足に直面しており、需給逼迫が関連銘柄の上昇を支えているという。
こうした流れは、メモリー半導体産業の構造変化とも重なる。従来、メモリーは景気動向に左右されやすく、好不況の波を繰り返す循環色の強い分野とみられてきた。スマートTVやスマートフォン、自動車など幅広い製品に搭載される汎用部材だったためだ。
しかし近年は、AI技術の急速な進展に加え、世界の大手テック企業による大規模データセンター投資が本格化し、従来型の産業サイクルが崩れつつあるとされる。
Roundhillは、現在の深刻な供給不足は一時的なものではなく、少なくとも2028年まで続く可能性があるとみている。AIモデルの高度化に不可欠なデータセンター需要、特にハイパースケーラーによる投資が今後数年にわたり積み上がると判断しているためだ。
市場では、DRAM ETFの急拡大をAI投資ブームの象徴的な事例とみる声も出ている。TMX VettaFiでリサーチ部門を統括するトッド・ローゼンブルース氏は、今回の異例の資金流入について、「ビットコインの熱狂」に匹敵する投資熱だと評価した。
同氏は、上場直後にもかかわらず短期間で強い資金流入が起きた点を「極めて衝撃的だ」と分析。そのうえで、有望テーマに絞ったETFが高成長企業へ直感的に投資できる手段として存在感を高めていると指摘した。
金融市場では、当面はこうした上昇基調が続くとの楽観的な見方が優勢だ。Citi Researchのディレクター、ドリュー・ペティ氏は、価格上昇のモメンタムの背景には、企業業績の力強い拡大があると説明した。
実際、今年は米国を含む世界の定量指標でみても、利益予想の上方修正が最も大きかった分野がメモリー半導体セクターだという。
株価が短期間で300%上昇していても、バリュエーションはなお合理的な水準にあるとの見方もある。今後数年の業績見通しが、従来予想に比べて6〜8倍以上上振れしているためだ。
市場の短期的な変動が続くなかでも、DRAMにはなお底堅さを評価する見方が出ている。