米大手銀行が2026年の金価格見通しを相次いで引き上げるなか、ロシアの個人投資家による金投資が広がっている。モスクワ取引所では取引量が大きく伸びており、調整局面を買い場とみる動きが強まっている。
BeInCryptoが15日に報じたところによると、JPモルガンは年末時点の金価格が1オンス当たり6300ドルに達すると予想した。ドイツ銀行は6000ドル、Goldman Sachsは5400ドル、UBSは5900ドルをそれぞれ見込んでいる。
足元の金価格は1オンス当たり4548ドル前後で推移している。1月に付けた過去最高値からは約16%低い水準だ。複数のアナリストは、今回の下落を構造的な上昇基調のなかの調整とみており、押し目買いの機会と位置付けている。
こうしたなか、ロシアの個人投資家はすでに買いに動いている。モスクワ取引所によると、2026年3月の金取引量は42.6トンと前年同月の3.5倍超に増加した。売買代金も5倍に膨らみ、5344億ルーブルに達した。
投資手段の多様化も進んでいる。銀行のOMSに加え、翌日スポット決済が可能なGLDRUB_TOMなどの取引商品、金ETF、金鉱株、金連動のデジタル金融資産が代表例として挙げられる。
なかでも、現物に近い商品の人気が高いとの見方が出ている。BCS World of Investmentのオレグ・レシェトニコフ氏は、「ロシアの投資家が金や銀に投資する最も手軽な方法は、翌日決済が可能な『ルーブル建て金』『ルーブル建て銀』の商品だ」と述べた。同社は向こう12カ月の金価格目標を5385ドルに設定している。
少額投資の需要も増えている。SF Educationのポートフォリオマネジャー、アレクサンダー・リャビニン氏は、「現時点で最も簡単なのは、ブローカーを通じて金を買う方法だ」としたうえで、「Tinkoff Goldはブローカーアプリで13ルーブルから購入できる」と語った。
一方で、投資手段が増えたからといって特定のチャネルに偏るべきではないとの指摘もある。AVI Capitalのライズ・イスマギロフ氏は、デジタル資産は流動性確保の手段として活用しつつ、一部は取引所商品で保有し、必要に応じて少量の現物を保険的に組み合わせるべきだと述べた。
もっとも、相場を左右する不透明要因は残る。米国の4月インフレ率は3.8%と、1年ぶりの高水準を記録した。これを受けて、FRBの利下げ期待は後退した。インドは金の輸入関税を15%に引き上げており、現物需要の重荷となっている。
ロシア国内の需給も、金相場の一段高にそのまま追い風となるわけではない。ロシア中央銀行は2026年に入り、財政赤字の穴埋めに向けて22トンを純売却した。
それでも足元では、個人マネーの流入拡大が金市場を支えている。米大手銀による強気見通しが続くなか、ロシアの投資家は足元の調整を買いの好機とみている。今後は、個人資金の流入が続くかに加え、米インフレ率と金利の行方、ロシア中銀の売却が相場の重荷となるかが焦点となる。