米バーモント州バーリントンのベーグル店「Myer's Bagels」が、AIで生成・加工した画像や文面を使ったSNS向け販促投稿を掲載し、利用者の反発を招いた。Googleレビューには星1の低評価も付き、店主は問題となった投稿を削除して謝罪した。Business Insiderが16日(現地時間)、報じた。
問題となったのは、AIで補正・合成した画像やレビュー文を使った販促投稿だ。実際の店舗や商品とかけ離れた表現が含まれていたことから、利用者の間で批判が広がった。
同店は約22人の従業員で受注、製造、店舗運営を回している。店主は、競争力を維持するうえでSNSでの情報発信が必要だった一方、継続的に運用を任せられる人員の確保が難しかったと説明した。学生スタッフが一時的に担当しても長続きせず、同じ課題が繰り返されていたという。
そのため、中小企業向けのAI支援サービスを導入した。人事や会計の分析、Instagram投稿の予約配信、販促文の作成、画像補正などを支援するサービスで、卒業シーズン向けの販促アイデアを得たり、店内で撮影した写真を整えたりする目的で活用していたとしている。
ただ、AIが作成した投稿内容は店舗の実情とかけ離れていた。ある投稿では、実際のベーグル袋の写真に店舗とは無関係な炎の画像が加えられ、既存のレビュー文も手書きメモのように加工されていた。別の投稿でも、職人が生地を伸ばす実写をもとに、木のまな板や炎、ベーグルをゆでるやかんの画像が追加され、実際にはない場面が作られていた。
利用者の反応は早かった。問題の2件の投稿にはそれぞれ約25~30件のコメントが付き、一部の顧客は「実際と異なる内容の販促投稿だ」としてGoogleレビューに星1の評価を投稿した。小規模事業者の試みとして擁護する声もあったが、全体としてはAIの使い方が不適切だとする否定的な反応が上回った。
最終的に店主は投稿を削除し、謝罪した。「初めての試みだったので、次はもっとうまくやれる」とも述べたという。新商品のベーグルが不評なら味を見直すのと同じように、マーケティングの手法も顧客の反応に応じて変えていく考えを示した。
一方で、AIの活用自体をやめる考えはないとしている。人事や会計の見直し、業務効率化など、事業運営全般では今後もAIが必要だとみているためだ。人員を増やさずに事業の成長に対応するには補助的な手段が欠かせず、AIはなくならないツールだとの認識を示した。すべての用途に適しているわけではないが、従業員や事業者、消費者のいずれにも役立つ可能性があり、コスト負担や物価上昇圧力の軽減にも意味があると語った。
Myer's Bagelsの事例は、小規模事業者の間でもAIが販促や運営の現場に急速に浸透していることを示している。一方で、コストや人手不足を補う手段として有効でも、消費者の目に触れるブランド表現まで委ねる際には慎重な判断が求められそうだ。