韓国企業が開発した独自AIモデルの活用が、法務、ゲーム、新素材開発、スタートアップ支援など幅広い産業分野で広がっている。韓国科学技術情報通信部によると、LG AI研究院やSK Telecomといった大手に加え、Upstage、NC AIなどのスタートアップも、自社モデルを軸にAI転換(AX)を進めている。
リーガルテック企業のLaw&Companyは、弁護士業務を支援する法務AIサービス「Super Lawyer」のオンプレミス製品に、Upstageの独自AIモデル「Solar Open」を採用した。
「Super Lawyer」は、判例検索、法理検討、書面ドラフト作成など、弁護士の中核業務をAIで支援するサービス。現在は官公庁向けにベータテストを実施しており、実運用に向けた展開を進めている。
オンプレミス型で提供することで、ネットワーク分離など厳格なセキュリティ要件が求められる環境でも、法務AIサービスを利用できるとしている。
Upstageのパク・ソンレ氏は、「グローバル大手がひしめく中でも、韓国のAIの存在感を示すという明確な目標を共有している」と説明。「私たちが開発するファウンデーションモデルが、韓国AIの将来のイノベーションを支える確かな土台になると信じており、スピードが問われる競争の中でもぶれない」と述べた。
Kraftonは、プレイヤーと対話するゲームキャラクター技術「CPC(Co-Playable Character)」を活用した「PUBG Ally」を公開する予定だ。
Allyキャラクターの韓国語コミュニケーション能力を高めるため、SK Telecomが政府支援を受けて開発した独自AIモデル「A.X K-1」を活用し、データの高度化を進めた。
「A.X K-1」は、韓国語と文化的文脈の理解に強みを持つとされるモデル。データ収集や先行モデルの研究を含む開発プロセス全般で、両社が協業した。
Kraftonで「PUBG Ally」の開発を率いるキム・ヒョンスん氏は、「A.X K-1を活用して、PUBG Allyの韓国語対話の品質を高めている」と説明。「人とCPCがより自然に意思疎通できる体験へと進化させ、プレイヤーが新たなゲームの面白さを感じられるようにしたい」と語った。
SK Telecomのチョン・ソンジュン氏は、「K-AI技術が、K-ゲームのサービスやコンテンツにおいてユーザー体験を自然に高めることに貢献できる点に意義がある」とコメント。「多様な産業やサービス領域でK-AIが人々の日常に役立つよう、技術の高度化を続ける」とした。
LG AI研究院が開発した新素材探索に特化したAIモデル「EXAONE Discovery」は、LG生活健康の化粧品素材開発に導入される。
「EXAONE Discovery」は、大量の分子構造や化学反応データを学習し、物質の特性や合成結果を予測して、最適な機能性素材を選別する。
LG生活健康によると、従来は新素材探索に22カ月かかっていた工程を1日に短縮できるという。研究者が長期間にわたり繰り返してきた試行錯誤をAIが代替する事例として、素材研究開発のスピードと効率の向上が期待されている。
韓国中小ベンチャー企業部と創業振興院は、NC AIが開発した独自AIモデルを基盤に、スタートアップがAIを活用した事業化に挑戦し、企業や産業現場に特化したAIソリューションを開発できるエコシステムの構築を進める。
事業名は「みんなのチャレンジAX」。AI技術の導入障壁に直面してきたスタートアップが、独自AIモデルを足場に事業成果を創出できるよう支援する。
今回の募集では、国内の独自AI技術の活用を目指すスタートアップから応募が集まり、高倍率となった。NC AIのほか、複数のK-AI企業が参加し、スタートアップのAXを後押ししている。