米上院で審議が進む「CLARITY法案」は米上院銀行委員会で可決されたものの、本会議採決を前に、公職者とその家族の利益相反をどう制限するかが最大の争点として浮上している。ステーブルコインの利息規定では一定の妥協が成立した一方、倫理条項を巡る対立が法案成立の不透明感を強めている。
ブロックチェーン関連メディアのCoinpostが16日(現地時間)に報じたところによると、焦点の一つだったステーブルコインの利息規定では妥協点が見えてきた。ただ、政界と関係のある暗号資産事業を通じた私的利益の扱いを巡っては、なお隔たりが残っているという。
法案は15日、米上院銀行委員会で可決された。これを受け、本会議に向けた論点は、収益提供に関する規定そのものよりも、公職者と家族が暗号資産ベンチャーから個人的利益を得ることをどこまで制限するかへ移っている。
民主党のルーベン・ガジェゴ上院議員は、公職者と家族による私益追求を防ぐ強い文言が盛り込まれなければ、本会議では反対票を投じる考えを示した。
ステーブルコインの利息付与を巡っては、銀行業界の反発が強かったが、「受動的な報酬」の禁止を軸に妥協が成立した。一方で、倫理規定はより大きな政治争点となっている。
背景には、ドナルド・トランプ米大統領の一族が関与したとされるプロジェクトへの懸念がある。これが民主党側の問題提起を一段と強めている。
法案を取り巻く日程面の制約も重い。投資銀行のTD Cowenは法案通過の可能性を40%へ小幅に引き上げたが、上院でフィリバスターを乗り越えるには60票が必要となる。
現状では、民主党の追加協力なしにそのハードルを超えるのは難しい。SosoValueは、本会議採決には民主党議員少なくとも7人の支持を含む計60票の確保が不可欠だと指摘した。
立法スケジュールも逼迫している。下院は7月27日、上院は8月10日に休会入りする予定で、それまでに上下両院の法案を一本化する必要がある。
SosoValueは、夏季休会前に残された審議期間を「ゴールデンタイム」と位置付けた。本会議採決と法案一本化に向けた調整を並行して進めなければならず、交渉の遅れがそのまま法案処理の遅延につながる可能性があるとしている。
論点ごとの進捗にも差が出ている。米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の管轄権や、マネーロンダリング対策(AML)を巡る論点では、一定の方向性が見えつつある。
これに対し、倫理規定と分散型金融(DeFi)開発者の責任範囲は、政治的な負担の大きい未解決課題として残っている。倫理条項を巡る対立が、上院農業委員会を通過した別法案との一本化に向けた調整まで遅らせるとの懸念も出ている。
ホワイトハウスは7月4日までの法案成立を目標に掲げ、トランプ大統領も署名する意向を示している。ただ、共和党が民主党の求める倫理関連の修正を受け入れなければ、期限内の成立は難しいとの見方が出ている。
現時点で成立の条件として挙がるのは、上院での60票確保、民主党が受け入れ可能な倫理条項の策定、そしてステーブルコイン利息制限を巡る既存合意の維持の3点だ。
米国の暗号資産制度化を巡る議論は、商業面の折衷から政治的合意の局面へと移っている。収益規定を巡る論点には一定の整理がついたものの、いまや倫理条項が最大のボトルネックとなっており、CLARITY法案の審議ペースと最終的な可決の可否は、民主党の賛成票を引き出せる修正案をまとめられるかにかかっている。