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MicrosoftとアブダビのAI企業G42がケニアで進める大規模データセンター計画が、電力インフラの制約に直面している。ケニア政府は、計画通りの規模では国内の電力網に大きな負荷がかかるとして、事業の見直しを含む協議を進めている。

TechRadarが現地時間17日に報じたところによると、両社が推進するケニア・オルカリアのデータセンタープロジェクトは、電力供給を巡る課題を受けて再調整の段階に入った。

MicrosoftとG42は2024年5月、ウィリアム・ルト大統領の米ワシントン訪問に合わせ、ケニアのオルカリア地域に地熱発電を活用したクラウドリージョンを整備すると発表していた。

最大の論点は電力需要の大きさだ。計画中のデータセンターは最大1ギガワット(GW)規模とされる。ルト大統領は最近ナイロビで開かれたイベントで、「このデータセンターに電力を供給するには、国内電力の半分を止める必要があるだろう」と述べ、現行の電力網では対応が難しいとの認識を示した。

実際、ケニアの発電設備容量は約3000〜3200メガワット(MW)で、最大需要は2025年1月時点で約2444MWまで増えている。ここに1GW級のデータセンターが加われば、単一施設で国内需要の約3分の1を占める計算になる。

初期段階でも負担は小さくない。第1段階として想定される100MW規模でも、オルカリア地熱発電団地の電力のかなりの部分を充てる必要があるとされる。

オルカリア地熱発電団地の発電量は、各発電所の合計で約950MWに上る。ケニア政府は、現在の電力網にはこうした超大型の新規需要を吸収できる余力がないとみている。

もっとも、計画が正式に撤回されたわけではない。ジョン・タヌイ情報通信省次官は、事業は引き続き協議中であり、検討対象から外れていないと説明した。その上で、当初想定していたデータセンターの規模については、追加の構造調整が必要になるとの見方を示した。

協議の軸は、当初の大型計画に代わる縮小案にも移っている。ケニア政府と事業関係者は、現地開発会社EcoCloudとともに、60MW規模の別のデータセンタープロジェクトを協議しているという。一方、総額10億ドル規模とされてきた既存のオルカリア計画は、電力の受け入れ余地と送配電インフラの不足から、事実上停止した状態にある。

ケニア政府は、単一の民間施設のために国内の電力供給の安定性を損なうことはできないとの立場を崩していない。

これに対しMicrosoftは、当初案から大幅に縮小した電力供給条件を受け入れていないとみられる。こうした隔たりが、計画の遅れにつながっている。

今回の計画は、Microsoftのアフリカにおけるデジタルインフラ拡大戦略の一環でもある。Microsoftは2024年、G42が米政府の圧力を受けてHuawei製機器の撤去方針を示した後、同社に15億ドルを投資した。ブラッド・スミス社長は当時、ケニア計画について「ケニアのデジタル技術史上、最大の進展」と位置付けていた。

もっとも、実際の事業化の段階では、AIとクラウドインフラの拡張ペースが電力網整備を上回るという課題が浮き彫りになっている。

市場では、大規模AIデータセンターの誘致は投資発表だけでは進まず、発電設備と送配電網の整備を並行して進める必要があることを示す事例と受け止められている。今後は、1GW級のオルカリア計画を再設計するのか、それとも60MW規模の代替案を実行段階に移すのかが焦点となる。

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