Costcoが景気後退を新たに警告したとの見方がオンライン上で広がっている。ただ、拡散した発言は同社が最近出したものではなく、2023年の決算発表で当時の最高財務責任者(CFO)が述べた内容だった。
ブロックチェーン系メディアのBeInCryptoが17日(現地時間)に報じた。話題となったのは、当時CFOだったリチャード・ガランティ氏が2023年5月の第3四半期決算発表で示した消費動向に関するコメントだ。
ガランティ氏は当時、消費者が牛肉から、より安価なたんぱく源へシフトしていると説明した。例として缶詰の鶏肉やツナを挙げている。
また、この動きについて、1999年、2000年、2008~2010年の景気減速局面と似たパターンだと指摘していた。
もっとも、こうした発言が最近のCostcoによる公式な景気後退警告として再拡散したのは事実と異なる。ガランティ氏は2024年3月に、約40年間在籍した同社を退社。現在のCFOはゲイリー・ミラーチップ氏だ。
ミラーチップ氏のもとで開かれた最近の決算説明では、同様の警告は示されていない。
Costco経営陣は2026年度第1四半期と第2四半期の決算発表で、会員の支出はおおむね安定していると説明した。高価格帯の食肉の伸びは、より安価なたんぱく源を上回ったとしている。
これは、SNSを中心に広がった「消費者がプレミアム商品を減らし、低価格商品へ移っている」との見方とは逆の内容だ。
それでも過去の発言が再び注目を集めた背景には、米国で進む牛肉価格の急騰がある。米国の牛肉価格は過去最高水準に達している。
2026年3月のひき肉の平均価格は1ポンド当たり約6.7ドル。同月の生体牛価格は1ポンド当たり2.58ドル前後で推移した。
価格上昇の背景も明確だ。米国の飼養頭数は、長引く干ばつと飼料費の上昇を受け、75年ぶりの低水準まで落ち込んだ。
さらにドナルド・トランプ大統領は今月、牛肉輸入規制を緩和して価格引き下げを図る行政命令の実施を見送った。食品インフレの負担が続くなか、過去のCostco発言が足元の景気シグナルのように受け止められた格好だ。
米景気の減速懸念を強めた材料はこれだけではない。2026年1~3月期の米国の段ボール箱生産量は8%超減少した。
この程度の落ち込みは、過去に米景気後退に先行して観測された例があるという。Goldman Sachsは3月、今後12カ月の米景気後退確率を30%に引き上げ、原油ショックと一段と引き締まった金融環境を理由に挙げた。
予測市場のPolymarketでは、年末までに米国が景気後退入りする確率は約23%と織り込まれている。ただ、この水準は年初のパニック局面で記録した水準を下回る。
今回の焦点は、Costcoが新たな警告を発したかどうかではない。2023年の発言が、2026年の物価環境と重なって再拡散した点にある。直近の決算では会員消費は比較的安定しており、高価格帯の食肉販売も安価なたんぱく源より速いペースで伸びた。
食品価格の不安定さと景気減速懸念が強まるなか、過去の発言が市場心理を揺さぶった事例といえそうだ。