世界の投資資金がインド市場から流出し、AIインフラ関連銘柄の比重が大きいアジア市場へ向かっている。インド株式市場は、3年ぶりに世界5大株式市場の座を失う可能性が意識されている。
BeInCryptoが17日付で報じた。背景には四半期業績の鈍化だけでなく、新興国向け資金の配分基準がAI関連銘柄へのエクスポージャーを軸に見直されるという構造変化があるという。
インドのMSCI新興国指数に占める比率は、1年前の約19%から足元では約12%まで低下した。2026年に入ってからは、海外投資家がインド株式市場から210億ドルを純流出させたと集計されている。
Goldman Sachsは、海外投資家の保有比率が14年ぶりの低水準に落ち込み、20年超ぶりに国内機関投資家を下回ったと推計した。11日付のインド戦略メモでは、大規模な海外勢の売りは一巡に近づく可能性があるとしつつ、需給悪化そのものはすでに表面化していると指摘した。
市場では、こうした資金移動の主因としてAI投資への集中を挙げる見方が強い。M&G Investmentは、資金再配分の約3分の2がAI関連のポジショニングを反映したものだと説明した。
インド株の時価総額は、2024年9月に約5兆7300億ドルでピークを付けた後、足元までに約9240億ドル減少した。
一方、台湾と韓国の株式市場には同期間に資金が流入した。台湾の加権指数(TAIEX)は年初来で約42%上昇し、韓国のKOSPIもAI向け半導体需要の強さを追い風に上昇基調を維持している。
TSMC、Samsung Electronics、SK hynixといった主力銘柄が、AIインフラ拡大の直接的な恩恵を受ける銘柄と位置付けられ、資金流入が続いたためだ。これに対しインドでは、こうしたサプライチェーンに直接連なる上場企業が限られる点が弱みとみられている。
こうしたセクター循環は株式市場の外にも広がっている。S&P Globalは、大型株とAI連動の主要トークンを組み合わせたハイブリッド型の暗号資産・株式ベンチマークを打ち出した。
AIを軸に資産配分の枠組みが再編されるなか、伝統的な株式とデジタル資産を一体で捉える商品も登場した格好だ。
インド国内では、ITサービス業が最も直接的な圧力にさらされている。Nifty IT指数は2026年に入って約26%下落し、同期間のNifty50指数の下落率が約9%にとどまるのに比べ、下げが目立つ。
3150億ドル規模とされるインドのITサービス産業の中核を担うTata Consultancy Services(TCS)とInfosysは、OpenAIが新たな企業向け導入支援組織の設立を発表した後、52週安値を付けた。
OpenAIは、企業がAIシステムを中核にサービスを構築できるよう支援するため、「OpenAI Deployment Company」を立ち上げたと発表している。
生成AIの普及は、インドのITサービス企業が従来築いてきた収益構造にも逆風となっている。生成AIツールがコーディングやテスト、バックオフィス業務を自動化し、人員投入を前提とするビジネスモデルを揺さぶっているためだ。
同メディアは、インドでは約1500万人がITサービス産業とグローバル・ケーパビリティー・センターで働いており、経済の一角がAIエージェントの普及による影響を受けやすい構造にあると指摘した。
インド政府も対応を急いでいる。政策当局は、半導体向けインセンティブやデータセンター拡張、国家AIミッションの推進を進めている。
今後数四半期は、こうした投資と政策対応が、インド株で進む構造的な資金流出を反転させられるかが焦点となる。