ビットコインの長期保有量が増加し、2025年8月以来の高水準となった。取引所残高の減少も続いており、オンチェーン指標は需給の引き締まりを示している。一方で市場では、今週公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を材料に、今後の米金融政策の方向性を見極める動きが強まっている。
17日付のBeInCryptoによると、長期保有者(LTH)に分類されるビットコイン供給量は約1526万BTCに増加した。直近30日では、長期保有ウォレットが31万6000BTCを新たに積み増したという。
注目されるのは、長期保有者の動きが売却局面から再び蓄積局面へ転じた点だ。CryptoQuantのアナリスト、ダークポスト氏は、長期保有者の供給量が増加基調にあるとしたうえで、こうした投資家は短期保有者に比べて値動きに左右されにくい傾向があると分析した。
足元の動きは、2025年11月末とは対照的だ。当時は長期保有ウォレットが30日間で約65万BTC減少したが、現在は同じ期間で31万6000BTC増加している。約6カ月前のサイクル高値圏で取得した投資家が、再び保有を継続している可能性を示す動きとみられる。
長期保有量は月末にかけて一段と増える可能性もある。2025年にCoinbaseから移動した80万BTCが、23日に「6カ月」の基準を満たし、長期保有分として計上されるためだ。このため、月末のオンチェーン供給指標が押し上げられるとの見方が出ている。
取引所フローには安定の兆しもみられる。ビットコインは足元で7万7000ドル台で推移しており、暗号資産関連のYouTubeチャンネル「Coin Bureau」は、取引所への流入と流出の差が6営業日連続で縮小したと分析した。安定した資金フローに加え、取引所残高の減少や大口投資家の買い増しは、2019年以降の主要な底入れ局面で繰り返し観測されてきたシグナルとされる。
市場の関心は、今週公表されるFOMC議事要旨にも向かっている。今回の議事要旨は、ジェローム・パウエル氏の議長任期終了後として初めて市場が内容を精査する政策記録として注目を集めている。パウエル氏の議長任期は15日に終了し、後任にはケビン・ウォーシュ氏が上院の採決を経て就任した。もっとも、パウエル氏は2028年1月まで連邦準備制度理事会にとどまる。
議事要旨が注目される背景には、金融政策のシグナルがリスク資産全般の投資家心理を左右するとの見方がある。ヤルデニ・リサーチは、FOMCが6月会合で引き締め姿勢を示した後、7月会合で政策金利を25bp引き上げる可能性があると予測した。年内に追加利上げが行われる可能性も否定できないとしている。
FOMCは政策金利の目標レンジを3.50〜3.75%に据え置き、3会合連続で現状維持とした。一方で、委員内部の見解の隔たりは大きい。スティーブン・ミラン理事が0.25ポイントの利下げを主張したのに対し、ロリ・ローガン、ニール・カシュカリ、ベス・ハマックの各総裁は、声明文の緩和的な表現に反対した。
ビットコイン市場では、長期保有の拡大、取引所残高の減少、そして米金融政策という3つの要因が同時に意識されている。とりわけ6月の初会合がウォーシュ体制で開かれる見通しであることから、市場参加者は今回の議事要旨を通じて、インフレに対する許容度や今後の政策変更の兆候が示されるかどうかを注視している。短期的には長期保有量の増加が流通量を抑える要因となる一方、相場の方向感は米金融政策のシグナルに左右される展開となりそうだ。