Teslaは自動運転支援ソフト「FSD」の最新版「V14.3.3」を配信し、「Actually Smart Summon」の最高速度を従来の6mphから8mphに引き上げた。Electrekが17日(現地時間)に報じた。引き上げ幅は33%となる。
Actually Smart Summonは、駐車場で車両がオーナーのもとまで自走したり、地図上で指定した地点まで移動したりする機能だ。Teslaは2024年9月に導入したが、速度が遅く実用性に乏しいとの指摘が出ていた。混雑した商業施設の駐車場では後続車の流れを妨げる場面もあり、利用者はアプリで車両の動きを監視しながら、必要に応じて停止させる必要があった。
今回の更新で、速度上限は8mph(約13km/h)に引き上げられた。差は2mphにとどまるものの、移動時間の短縮効果は小さくない。例えば200フィート(約61m)を移動する場合、従来は約23秒かかっていたが、新たな上限では約17秒に短縮される。
Teslaは速度引き上げの背景として、FSD V14.3系で進めた構造見直しを挙げている。V14.3では、多段階中間表現(Multi-Level IR、MLIR)を基盤にAIコンパイラを再構成し、応答速度を20%改善した。さらにV14.3.2では、一般向けFSDと商用ロボタクシー、Actually Smart Summonを単一アーキテクチャに統合した。
これにより、駐車場での呼び出し機能にも高速道路走行と同じニューラルネットワークが使われるようになった。Teslaによると、統合モデルの採用で周辺環境の認識速度が高まり、障害物や歩行者、車両への反応も改善したという。今回の速度引き上げは、その成果が表れた最初の事例としている。
ただ、対象はHW4搭載車に限られる。TeslaがV14をHW4中心で展開しているためで、HW3搭載車では同等の速度引き上げは見込みにくい。Teslaは最近、海外市場のHW3搭載車に「V14ライト」を提供すると案内したが、アップデートには数カ月以上かかる見通しだ。
規制面では一定の前進もあった。米国家道路交通安全局(NHTSA)はActually Smart Summonに関する159件の報告を検討した後、約6週間前に調査を終了した。利用履歴全体で人的被害は確認されず、事故も駐車場の遮断機や隣接車両、ボラードなどとの軽微な物損にとどまった。Teslaは調査期間中、6回の無線アップデート(OTA)で問題を改善し、NHTSAは対応が十分だとしてリコールを求めず調査を終えた。
今回の配信には追加機能も含まれる。メインディスプレイには、FSDがドライバーの介入なしで連続走行した距離をリアルタイムで表示するカウンターを新たに搭載した。ドライバーが制御を引き継ぐと、表示は0にリセットされる。FSDが強制解除された際に表示されるフィードバックメニューも、従来の「好み・不便・致命的・ナビゲーション」から、「ナビゲーション・駐車・致命的・その他」に簡素化した。
今回の更新は、Actually Smart Summonの実用性を高めると同時に、FSDソフトの統合を進める流れを示した。一方で、速度引き上げがHW4搭載車に限られたことで、FSDを購入済みでも旧世代ハードウェアを使うオーナーとの差は一段と広がりそうだ。