日本の大手証券が個人向け暗号資産投信の開発を進めている。写真=Shutterstock

SBI証券と楽天証券が、個人投資家向けにビットコインとイーサリアムを対象とする投資信託の開発を進めている。暗号資産を直接購入しなくても、既存の証券口座を通じて関連資産に投資できる商品として投入する方針だ。

ブロックチェーン関連メディアのBeInCryptoが17日(現地時間)に報じた。これまで日本の個人投資家がビットコインやイーサリアムを購入するには、暗号資産交換業者の口座やウォレットを別途用意するのが一般的だった。今回の商品は、こうした投資導線を証券口座側に取り込む狙いがある。

投資家は暗号資産そのものを保有するのではなく、実際に暗号資産を組み入れたファンドの持ち分に投資する仕組みとなる。株式や債券、既存の投資信託と同様に、普段使っている証券口座から売買できる点が特徴だ。

SBI証券は、グループ会社のSBIグローバルアセットマネジメントが開発した商品を販売する計画という。発売後3年以内に5兆円規模の資産形成を目標に掲げており、商品設計から販売までをグループ内で完結させる体制を想定している。

楽天証券も、楽天投信投資顧問を通じて同様の商品を準備している。スマートフォンアプリから直接売買できる形を想定しており、個人の暗号資産投資需要がモバイル中心に移っている点を踏まえた対応とみられる。

こうした動きを受け、金融業界でも関心が高まっている。日本経済新聞が18社を対象に実施した調査では、野村証券や大和証券、みずほ証券を含む11社が、規制の枠組みが整えば市場参入を検討すると回答した。

野村証券と大和証券は、制度が明確になれば暗号資産関連の投資信託の開発に乗り出す可能性を示した。SMBCグループは関連タスクフォースを立ち上げ、みずほ傘下の資産運用会社であるアセットマネジメントOneも初期検討に入った。制度整備の正式決定前から、大手金融機関が準備を進めている格好だ。

背景には、金融庁による制度見直しの動きがある。金融庁は、投資信託や上場投資信託(ETF)で暗号資産を組み入れられるようにする方向で規定の整備を検討しているとされる。

市場では、現物連動型の暗号資産ETFが2028年までに承認される可能性も取り沙汰されている。関連市場の規模は約64億ドル(約9600億円)に達するとの見方も出ている。

日本では足元で、暗号資産を金融商品として再分類する方向で制度整備が進んでいる。これにより、未公表情報の利用を巡るインサイダー取引の禁止や、発行主体に対する年次開示義務などの規制が適用される見通しだ。暗号資産を金融商品取引法の枠組みに取り込み、既存の証券・資産運用業界との接点を広げる流れが強まっている。

市場の注目点は、投資家のアクセスのしやすさにある。SBI証券や楽天証券の口座をすでに持つ利用者は数百万人規模に上るとみられ、新たに交換業者の口座を開設しなくても、ビットコインやイーサリアムの値動きに連動する投資機会を得られる可能性があるためだ。

一方で、制約もある。投資信託の持ち分を保有する形式である以上、投資家がビットコインを直接保有するわけではない。このため、運用報酬の負担や取引相手先リスクは残る。

米国では、ビットコイン現物ETFの上場後、運用会社間の競争によって手数料が急速に低下し、普及のスピードも加速した。日本でも、金融庁の審査方針に加え、SBI証券と楽天証券がどのような手数料体系を打ち出すかが普及の鍵を握るとみられる。

暗号資産市場はこれまで交換業者中心で拡大してきたが、今後は証券会社や資産運用会社を軸とする制度内の投資チャネルへと広がる可能性がある。暗号資産投信が実際に投入されれば、日本の個人投資家によるビットコイン、イーサリアム投資は、直接購入から金融商品を通じた投資へと一部シフトする見通しだ。

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