ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官。国家AI戦略委員会の第18回運営委員会であいさつする。写真=国家AI戦略委員会

韓国政府のAI政策を統括する体制が再編局面を迎えている。大統領室のAI政策担当首席と国家AI戦略委員会の常任副委員長が相次いで選挙出馬のため離脱し、ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官が当面、国家AI戦略委員会の運営も担うことになった。GPU確保やAIインフラ整備など重要課題が並ぶ中、早期の後任人事が焦点となっている。

韓国のAI政策中枢からは、大統領室のAI政策担当首席に続き、イム・ムニョン前国家AI戦略委員会常任副委員長も選挙に出馬するため職を離れた。これを受け、国家AI戦略委員会は、イム前常任副委員長の辞意提出と解任後、ペ副首相が当面その役割を兼務すると明らかにした。ペ副首相は第18回運営委員会を主宰し、常任副委員長として初の公式日程に臨んだ。

業界では、今回の兼務を単なる役職の追加以上の動きと受け止めている。韓国政府のAI政策はこれまで、大統領室のAI政策担当首席、国家AI戦略委員会の常任副委員長、科学技術情報通信部長官の3者を軸に進められてきた。大統領室が国家アジェンダを設定し、国家AI戦略委員会が省庁横断の方向性を調整し、同部が予算と事業執行を担う構図だった。

だが、2つの中枢ポストが同時に空白となり、政策調整の負担はペ副首相に一段と集中する見通しだ。政府としては、AI分野の専門性と政策の継続性を踏まえ、これまでの流れを把握するペ副首相に委員会運営まで担わせることで、空白を最小限に抑える狙いがあるとみられる。

一方で、現場では負担の重さを懸念する声も出ている。科学技術情報通信部の所掌は、AIに加えて科学技術、研究開発(R&D)、通信、郵政、サイバーセキュリティなど広範に及ぶ。業界関係者は「AI政策の中核人材が選挙で抜けたことで懸念は大きい。宇宙や科学技術分野も見なければならず、負担は相当重い」と話した。

政府が抱えるAI政策課題の多さも、負担を増す要因だ。国家AI戦略委員会によると、今年1〜3月の「大韓民国AI行動計画」の履行状況を点検した結果、全326課題のうち288課題は計画通り進んでいる。一方で、38課題は補完が必要となる。委員会は今後、省庁間の協業体制や予算確保策などを追加で検討する方針だ。

今回の運営委員会ではこの点検結果に加え、2027年のR&D新規事業企画支援、非R&D支援の推進計画、AI立法フレームワークの現況なども議題となった。ペ副首相は、政策企画から予算、法制度、成果管理まで幅広い領域を同時に統括する立場となる。

AIインフラの拡充も重要な課題だ。政府は先端GPUの確保、国家AIコンピューティングセンターの構築、AIデータセンターの拡充、独自AI基盤モデルの開発支援といった大型事業を進めている。これらの事業をどの順序で、どの程度の速度感で進めるかを調整することも、ペ副首相に課された役割となる。

もっとも、業界ではペ副首相の現場経験に期待する見方もある。ペ副首相はLG AI研究院長を務め、AI研究とサービス開発の双方に携わってきた。企業が直面する課題や要望への理解が比較的深いとの評価が出ている。

ペ副首相は最近、韓国のAI技術競争力に対しても自信を示している。科学技術・AI未来戦略会議では、「いつもAnthropicのグラスウィング・プロジェクトに韓国が参加するのかという質問ばかり出る。韓国もミトスのような水準のモデルを作れるのか、という質問が出るべきだ」と述べた。世界AI3強を目指す局面で、より自信を持つべきだとの認識を示した発言と受け止められている。

ただ、ペ副首相個人の力量とは別に、AI政策の司令塔機能を安定的に維持できるかはなお課題として残る。AI政策はスピードと専門性の双方が求められる分野であり、大統領室のAI政策担当首席と国家AI戦略委員会常任副委員長の空白が長引けば、政策調整の負担が過度に集中する可能性があるためだ。業界では、後任人事を急ぐ必要があるとの声が強まっている。

別の業界関係者は「行政経験と技術領域の知見を兼ね備えた人材を見つけるのは容易ではない。当面はペ副首相の動きが、今後のAI政策の方向性を大きく左右する」と話した。

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