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AIエージェントの普及を背景に、人ではなくエージェントが直接利用するソフトウェア市場が広がっている。なかでも、ユーザーインタフェースを介さず、APIやMCP経由で基盤ソフトの機能を呼び出す「ヘッドレスソフトウェア」を巡り、主要ベンダーの対応が加速している。

AIエージェント向けソフトの戦略は企業ごとに分かれている。SalesforceとServiceNowは外部のAIエージェントにも自社プラットフォームを開放する方向に動く一方、SAPは自社エージェントを中心に据える構えだ。

ヘッドレスソフトウェアの拡大は、エンタープライズソフト市場の勢力図を左右する新たな変数として浮上している。シリコンバレーのベンチャー投資会社Andreessen Horowitz(a16z)のパートナー、シーマ・アンブル氏は、ヘッドレス時代にはソフトウェアの競争優位の源泉が変わると指摘した。人の操作習慣や好みに根差した要素は、エージェント時代には影響力を失うとの見方を示している。

一方、AI活用を背景に人員削減の動きが広がるなかでも、企業のAI導入を現場で支援するフォワード・デプロイド・エンジニア(FDE)の需要は拡大している。OpenAIとAnthropicは投資家と合弁会社を設立し、企業のAI導入支援を本格化した。Googleも数百人規模でFDEを採用するとされる。

このほか、AIを巡る主要企業の動きも相次いでいる。

OpenAIは、AI音声クローンツールを手がけるスタートアップWeights.ggを買収した。報道によると、小規模な従業員チームと知的財産権を含めて取得したという。また、米国のChatGPT Pro加入者向けに個人向け金融ツールのプレビュー版を投入した。Schwab、Fidelity、Chase、Robinhood、American Express、Capital Oneを含む1万2000以上の金融機関口座を接続でき、連携後はポートフォリオの運用状況や支出、サブスクリプション、今後の支払い予定をダッシュボードで確認できる。さらに、モバイル端末から開発ワークフローを遠隔管理できるよう、コーディングツール「Codex」をChatGPTアプリに統合する。

Anthropicについては、企業顧客数で初めてOpenAIを上回ったとする調査結果が出た。フィンテック企業RampのAIインデックスによると、Anthropicのサービスに費用を支払う企業は34.4%で、OpenAIの32.3%を上回った。Anthropicは中小企業向けAIサービス群「Claude for Small Business」も投入した。WalmartやStarbucksのような大企業ではなく、地域の小売店やカフェなど小規模事業者を主な対象とする。また、開発者ツールのスタートアップStainlessを少なくとも3億ドル(約450億円)で買収する方向で交渉しているとも報じられている。

Microsoftは、OpenAIの代替候補となり得るAIスタートアップの買収を進めているという。報道では、Stanford大学チームが設立した小規模スタートアップInceptionと買収協議を進めているとされた。

Amazonは、Rufusチャットボットを終了し、AlexaをAIショッピング戦略の中核に据える。Amazon Web Services(AWS)はAIソフトウェア開発ツール「Kiro」に、並列作業の実行や要件分析エンジン、迅速な計画立案を支援する「Quick Plan」機能を追加した。

Googleは、Androidプラットフォーム全体にGeminiを統合し、スマートフォン、ブラウザ、車、ノートPCを横断するAIレイヤーへと広げる方針だ。

OpenAIのCTOを務めたミラ・ムラティ氏が設立したAIスタートアップThinking Machinesは、リアルタイムの相互作用処理を軸にしたAIモデル「Interaction Model」のリサーチプレビューを公開した。

Red Hatは、エージェント中心の開発環境を想定した新たなLinux OS「Fedora Hummingbird Linux」を公開した。年次カンファレンスでは、企業向けAIプラットフォーム「Red Hat AI 3.4」も発表した。大規模推論とエージェンティックAIの展開を支援するもので、AIモデルへのアクセスを中央ゲートウェイで管理し、利用量の追跡やポリシー適用を担うモデルサービス機能を追加した。

SAPは、ワークフロー自動化プラットフォームn8nに投資した。n8nは、コーディングを最小限に抑えながら反復業務を自動化するソフトウェアを開発してきた企業だ。SAPはAnthropicとの協業も拡大する方針だ。両社は、SAPの顧客企業がAnthropicのClaudeモデルを活用し、AIエージェントをより容易に構築できるよう、製品連携を深める方針としている。データ保護ソリューション企業Veeamは、エージェンティックAI環境向けの「DataAIコマンド・プラットフォーム」を発表した。

AI・クラウド企業のMegazoneCloudは記者懇談会を開き、企業のマルチエージェント構築に伴う課題や混乱の解消を支援し、エンタープライズAIオーケストレーターの役割を担うとのビジョンを示した。さらに、グローバル会計・コンサルティング法人EY韓英と連携し、金融AI市場の開拓を加速する。

Upstageは、Daumの買収をてこに下半期の新規株式公開(IPO)を加速する方針だ。AIポータル戦略、KOSPI上場要件の充足、海外売上の実現が主な変数になるとしている。

AI時代の働き方の変化も鮮明になっている。キーボードで入力するタイピングよりも、音声で指示や文章を生成する「発話」の比重が高まっているためだ。周囲への配慮が必要な場面はあるものの、AIの普及を背景に、テックスタートアップを中心に「手ではなく声で働く」人が増えているという。

また、ビッグテック各社は、宇宙衛星を活用して太陽エネルギーを地上のAIコンピューティングに生かす構想の具体化も急いでいる。AI開発企業は、データセンター建設に関する規制など地上で直面する制約を避けながら計算資源を拡大できる可能性がある一方、実現へのハードルはなお高いとみられている。

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