データセンターのイメージ写真=Shutterstock

NVIDIAの次世代AI加速器「Rubin」の7月出荷を前に、電力機器のサプライチェーン全体に追い風が意識されている。Rubinを搭載したラックは、現行のBlackwell搭載ラックに比べて約1.5倍、1世代前のHopper搭載ラック比では約5倍の電力を必要とする見通しだ。計画通り量産が進めば、変圧器やケーブルなど送配電機器の需要が一段と膨らむとの見方が出ている。

教保証券によると、Blackwell搭載ラックの消費電力はHopper搭載ラックの約3.3倍で、年内に投入されるRubin搭載ラックはそこからさらに約1.5倍増える。電力当たりの性能は改善しているものの、エージェンティックAIなどを背景に推論需要が拡大し、計算資源の必要量そのものが増しているためだという。

需要面も堅調だ。足元では、ハイパースケーラー各社の12カ月先行きの設備投資(Capex)見通しが約6.2%上方修正された。Googleについては、AI関連事業を抱えるGoogle Cloudの今年の売上高見通しが前年比6.3%増、営業利益率は30.7%水準とされ、AI投資が収益拡大につながる構図が鮮明になっている。

こうした電力密度の上昇は、データセンター全体の電力消費を押し上げる。国際エネルギー機関(IEA)の報告書によると、米国の新規電力需要の半分はデータセンター向けで、2028年には総電力需要の12%を占める見通しだ。世界のデータセンター電力消費は2024年時点で約416テラワット時(TWh)だが、2030年には669〜1264TWhに増えると予測されている。

超高圧変圧器のリードタイム長期化、大手の供給逼迫で受注分散も

電力機器業界は人手依存の色合いが強く、需要増がそのまま供給拡大につながりにくい。中核設備の1つである超高圧変圧器の平均リードタイムは、従来の1〜2年から足元では4年まで長期化した。老朽化した送配電網の更新だけでも電力効率は約20%改善するとされており、新規電源の増設需要と既存設備の更新需要が同時に進んでいる。

大手各社の受注残も高水準に積み上がっている。韓国の重電大手3社であるHD Hyundai Electric、Hyosung Heavy Industries、LS ELECTRICの受注残高合計は、AI向け需要が本格化する前の2022年に比べ、2025年末には約3倍に拡大した。営業利益も約5倍超に増えたという。直近2年間の平均売買代金はその前3年間の平均に比べ約237.8%増え、時価総額も平均で約6倍に膨らんだ。

教保証券はこうした局面で、大手の供給不足が中堅・中小企業に商機をもたらす可能性があると分析する。世界の大手電力機器メーカーでリードタイムの遅延が広がる中、サプライチェーンの多様化ニーズが強まり、実績を持つ中小型企業にも発注が広がるとの見立てだ。Hanwha Vision、Sanil Electric、Iljin Electric、ISCなどは、過去にもバリュエーション格差の縮小局面で注目を集めたことがある。

一方、不確実要因として残るのがRubinの投入時期だ。市場調査会社TrendForceは4月、HBM4の検証やネットワークチップの変更、電力消費管理、液冷環境での性能最適化といった技術課題を理由に、出荷時期が遅れる可能性を指摘した。米投資銀行KeyBancも、NVIDIAが今年のRubin生産目標を200万個から150万個に引き下げた可能性があると分析している。

もっとも、7月の出荷日程そのものは維持されるとの見方がなお優勢だ。量産が本格化すれば、データセンター向けの電力需要が大きく増える流れは変わらないとの見方が多い。

焦点は量産スケジュールにある。Rubinが7月に計画通り出荷されれば、電力密度の上昇は変圧器やケーブル、配電機器など送配電機器全般に速やかに波及する可能性が高い。業界関係者は「一部で遅れが出たとしても、Blackwellの比重が高まる以上、電力需要の増加トレンド自体は揺るがない」と話している。

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