銀行各社が、会費管理向け口座「モイム通帳」を軸に競争を強めている。先行するKakaoBankに続き、都市銀行や貯蓄銀行も相次いで参入。最近は単なる会費管理にとどまらず、高金利の付与や日程共有、AI機能などを組み合わせた生活金融サービスへと進化している。
金融業界によると、Hana Bankは17日、「ハナ・モイム通帳」の提供を始めた。入出金口座と「金庫」機能を分けた設計を採用し、日常的な会費の管理は入出金口座で行い、余剰資金は別枠で保管して最大年2.5%の金利を付与する。
最大300万ウォンまでのパーキング型金利優遇も組み合わせ、会費管理に加えて少額資産の運用ニーズにも対応する構えだ。
主な振込手数料は回数制限なく無料とし、割り勘精算や幹事変更といった機能も搭載した。モイム運営で頻繁に発生する送金や精算の需要を取り込む狙いがある。
モイム通帳市場を先行してきたのはKakaoBankだ。2018年に同サービスを投入し、市場を事実上切り開いた。KakaoTalkを基盤とした招待機能やリアルタイムの会費共有を前面に打ち出し、利用者を急速に広げた。
その後も、掲示板や会費ルールの設定、モイム専用チェックカードなどへとサービスを拡充してきた。規模でも優位性は大きい。2025年1〜3月期時点の利用者数は1290万人、残高は11兆6000億ウォンに達した。
2025年1〜3月期の預金増加も、モイム通帳がけん引したとの見方がある。要求払い預金を中心に約1兆ウォン残高が増え、低コスト預金の拡大に寄与したという。
KakaoBankは足元でAI機能の強化も進めている。2025年末に投入した「AIモイム総務」は、会費未納者の確認や入出金の分析、用途別の支出集計などを自動で整理する機能だ。
こうした動きを受け、モイム通帳は単なる会費口座ではなく、データを基盤とする生活金融プラットフォームへと発展しつつあるとの見方も出ている。
後発組も差別化を急ぐ。Shinhan Bankは「SOLモイム通帳」を全面刷新した。ホーム画面で会費の状況やお知らせ、取引履歴をまとめて確認できるようUIを見直し、日程変更や会費納付を事前に知らせるチャットボット機能も導入した。
カレンダー機能を拡充したほか、「贈る」機能も新設し、コミュニティ機能を強化した。投入から1年で利用会員数は65万人を超え、若年層との接点を広げるチャネルとして活用を進めている。
KB国民銀行は、「KBモイム通帳」と「KBモイム金庫」でサービスを展開している。余剰資金を別途の金庫に保管すると、最大年2.0%の金利を付与する仕組みだ。
2025年からは、KBスター・バンキングのアプリを使わなくても、モバイルWebだけでモイムの作成や招待ができるようにし、利用のハードルを下げた。
貯蓄銀行でも市場開拓が続く。Acuon Savings Bankは「モイGoモイム通帳」を投入した。会費管理に日程共有や掲示板機能などを組み合わせ、最大年2.7%の金利を提供する。
家族やカップル、同好会など、さまざまな目的のモイム需要を取り込む狙いだ。
金融各社がモイム通帳の競争を強める背景には、低コストの預金を確保しやすいという事情がある。モイム通帳は一般的な入出金口座に近く金利は低めだが、平均残高が大きく、資金の滞留期間も長いため、銀行にとっては安定した預金獲得手段とみなされている。
足元では株式市場や暗号資産市場への資金流入が広がる中、銀行は定期預金の金利を大きく引き上げるよりも、生活密着型の金融サービスで資金を呼び込む戦略に力を入れているとみられる。モイム通帳は会費管理という利用目的が明確なうえ、参加メンバー全体を新規顧客として取り込めるため、顧客獲得の面でも効率が高いとの評価がある。
銀行関係者は「モイム通帳は、顧客のロックイン効果を高める代表的なサービスとして定着しつつあり、各行が機能や優遇内容の高度化を続けている」としたうえで、「最近は顧客の生活全般に関わる金融ニーズを反映した、実質的な優遇拡大競争にもつながっている」と話した。