オンチェーンの実物資産(RWA)市場の時価総額が初めて320億ドルを超えた。一方で、業界では発行件数や規模の拡大に比べ、実際の売買を支える流動性インフラの整備が追いついていないとの指摘が出ている。
Cointelegraphによると、デジタル資産企業Axisの創業者兼CEO、クリス・キム氏は、Wall Streetで進むトークン化競争が発行規模の拡大に偏っていると指摘した。
オンチェーンRWAの市場規模は、2026年に入ってから約100億ドル増加した。McKinseyは2030年のトークン化市場が2兆ドルに達する可能性があると予測し、Standard Charteredは2034年に30兆1000億ドルに拡大するとの見通しを示している。
こうした中、キム氏は、多くのプロジェクトや暗号資産市場に参入した伝統的金融機関が、依然として発行段階に注力していると説明した。トークン化資産を発行することと、その資産が市場で継続的に取引されることは別の問題であり、今後の市場成長を左右するのは発行量ではなく、実際に売買できる環境だとの見方を示した。
流動性の状況は資産クラスごとに大きく異なる。RWA市場の約半分を占めるトークン化米国債は、裏付け資産である米国債市場の流動性に左右される。一方、不動産のように売買頻度が低い資産では、継続的な二次市場取引が乏しく、適正な価格形成が難しいという。
トークン化された金も例外ではない。Chainalysisのデータでは、トークン化金の取引額は405億ドルに達したが、長期間にわたり伝統的な金市場との相関はほとんど確認されなかった。Cointelegraphによると、両市場が連動し始めたのは2025年半ば以降だという。
複数のブロックチェーンにまたがって資産が分散している点も課題だ。キム氏は、同じ資産が複数のブロックチェーン上で約30種類の形式に分かれて発行されているものの、相互運用性が確保されていないと指摘した。
キム氏はトークン化そのものに懐疑的ではないとしつつ、伝統的金融市場の流動性とオンチェーン上の流動性の間には、なお大きな隔たりがあるとの認識を示した。