AnthropicがAIサービスの価格を引き上げたことで、導入企業の間でコスト負担が増している。利用実績を把握するための詳細データが乏しく、費用予測や予算管理が難しいとの声も上がっている。
The Informationが14日(現地時間)に報じたところによると、PagerDutyやServiceNowなどAnthropicの顧客企業は、今年のAI関連費用を見通せない状況にある。ServiceNowはAnthropicのAIツール向けに確保していた年間予算をすでに使い切ったという。
ServiceNowのケリー・ロメック最高デジタル情報責任者(CDIO)は、コスト予測が難しい背景として、利用量データの不足を挙げた。Anthropicは、従業員ごとにどのツールをどの程度利用しているかを示す詳細データを自動では提供していないという。
ロメック氏によれば、ServiceNow、SAP、Microsoft、Workdayといったソフトウェア企業は、こうした「テレメトリー」データを顧客向けに提供している。
この種のデータがあれば、ツールの非効率な利用や過剰利用をしている従業員を特定しやすくなり、利用制限などの対応も取りやすくなるとしている。
代替策としては、Claudeのアカウントを標準APIを通じて外部の分析ツールと連携させることで、従業員の利用量をある程度モニタリングできる。ただ、その場合は別途データ分析ツールの導入が必要になる。
ロメック氏は、ServiceNowが自社で販売するAIコントロールタワーのアプリケーションを使い、従業員によるClaudeの日次利用量を追跡していると説明した。そのため同社では、利用データの監視を担う専任担当者を1人置いているという。
Anthropicの別の顧客である保険会社National Life Groupも、従業員ごとのClaude利用量を示す詳細データを取得できない問題に直面している。National Life Groupのニメシュ・メタ最高情報戦略責任者(CISO)は、この点について「Anthropicは個人利用には優れた製品だが、社員ごとの利用量を把握したい企業には適していない」と指摘した。
また、ロメック氏とメタ氏は、Anthropicが製品性能の基準や顧客対応の応答時間を定めたサービスレベル合意(SLA)も提供していないと述べた。
ロメック氏は、Anthropicに強い不満があるわけではなく、技術も事業もなお初期段階にあることは理解していると説明した。そのうえで、「より高い透明性が必要だ」と話した。