SpaceXの新規株式公開(IPO)が、米国株の上昇相場にとって大きな転機になり得るとの見方が浮上している。相場崩壊の直接要因というよりも、市場に積み上がった過度な楽観やレバレッジを映し出す象徴的なイベントになる可能性があるという。
ブロックチェーン関連メディアのBeInCryptoが5月14日(現地時間)に報じたところによると、BloFin Researchは最近のリポートで、SpaceXの上場について「市場にどれほど多くの期待が織り込まれていたかを見極める瞬間になり得る」と分析した。
足元の米国株はAI関連銘柄が上昇をけん引している。S&P500種株価指数は史上初めて7400を突破し、過去12カ月で約27%上昇した。直近6週間でも上昇率は15%を超え、Nasdaq100指数も同期間に約40%上昇した。
ただ、上昇は一部の超大型ハイテク株に集中している。BloFin Researchは、高値更新局面では上位5銘柄がS&P500の上昇分の約75%を占めたと指摘した。
AIサプライチェーン関連銘柄の急騰も続いている。SanDiskは年初来で500%超上昇し、Western DigitalとMicronもそれぞれ約190%、170%上昇した。リポートは、こうした値動きは構造的な成長期待だけでは説明しにくい水準だとしている。
こうした中、市場の注目は2026年夏とされるSpaceXのIPOに集まっている。企業価値はすでに1兆ドル(約150兆円)規模との観測が出ている。BloFin Researchは、SpaceXについて、AI、宇宙、未来インフラ、そしてイーロン・マスクの象徴性を一体化した資産だと位置付けた。
さらに、未上場企業でありながら事実上の「保有必須資産」のように受け止められ始めれば、市場のリスク選好が過熱局面に入った可能性があるともみている。
相場のひずみは、すでにオプション市場に表れ始めているとの見方も示した。個別株オプションではコールの取引量がプットの約2倍に達した一方、主要指数ETFではプット取引が優勢だった。投機資金が個別株の上昇に賭ける一方で、機関投資家はポートフォリオ全体では防御姿勢を強めている構図を示している。
リポートは、現在の株高が企業業績やAI期待だけでなく、オプション市場の構造によって増幅されていると分析する。同じ構造は、相場下落局面ではボラティリティをさらに押し上げる要因になり得ると警鐘を鳴らした。
一方、暗号資産市場はすでに一部のリスクを織り込んでいる可能性があるという。2025年10月には、約24時間で190億ドル規模のレバレッジポジションが清算されたとされる。
BloFin Researchは、暗号資産市場ではすでにレバレッジ調整が一巡した半面、米国株はオプション市場を通じてなおレバレッジが積み上がっている可能性があるとみる。米主要指数が最高値更新を続ける一方、暗号資産市場は過去の過熱水準をなお回復できていない点を根拠に挙げた。
ビットコインの先行きについては、2つのシナリオを示した。1つ目は「夏の流動性流出」シナリオで、SpaceXのIPOとAI過熱への警戒が重なれば、リスク資産市場全体が揺らぐ可能性があるとした。
もう1つは「米中間選挙後の調整」シナリオだ。11月の選挙までは政治的な思惑が株式市場を下支えする可能性があるが、その後はレバレッジ負担が一気に表面化する恐れがあると説明した。
両シナリオに共通する焦点は流動性だ。BloFin Researchは「本当のリスクはボラティリティそのものではなく、流動性にある」と強調した。SpaceXのIPOはバブル崩壊の直接の引き金ではないとしても、市場がどれだけ強い楽観を価格に織り込んできたかを意識させる契機になり得るという。
また、ビットコインがこうしたショックに先行して反応し、その後の回復も先行する可能性があるとの見方も示した。暗号資産市場は24時間取引で値動きが大きく、リスクをいち早く価格に織り込みやすいため、主要リスク資産の中でも最も早くストレスを反映しやすいとした。
BloFin Researchは、株式市場のストレスを引き金とする最後の投げ売りは、暗号資産投資家にとって痛みを伴う局面になり得る一方、次のサイクルを前にした有力な買い場になる可能性もあるとみている。