EV版「Golf」の投入延期は、IDシリーズの販売戦略と次世代SSPの展開見直しと連動する。写真=Volkswagen

Volkswagenは、EV版「Golf」の投入時期を2028年以降に先送りした。足元では既存のEVラインアップで需要を賄えると判断したためで、次世代プラットフォーム「SSP」の開発・展開計画にも影響が及んでいる可能性がある。

14日、InsideEVsなどが報じたところによると、Thomas Schäfer CEOは英ロンドンで開かれた「FT Future of the Car」で、EV版「Golf」の延期を認めた。現行のラインアップで当面は十分対応できるとの認識を示し、「2028年に電動Golfは必要ない」と述べた。

EV版Golfは、Volkswagenグループの次世代プラットフォーム「SSP」をベースに開発する計画だった。SSPはRivianとの協業も含めて開発が進められているが、今回の発言はEV版Golfの投入時期だけでなく、SSP自体のスケジュールも再び後ろ倒しになる可能性を示した形だ。

製品戦略の見直しの背景には、既存の電動ハッチバック群の拡充がある。Volkswagenは今年初め、ID.3の改良版を公開し、車名を「ID.3 Neo」に改めた。

ID.3 Neoは現行Golfに近いサイズのハッチバックで、EV版Golfが当面登場しなくても、その空白を補えるモデルとみられている。通常のモデルサイクルに沿えば、2030年ごろまで販売が続く可能性がある。

さらにVolkswagenは「ID. Polo」をすでに披露しており、「ID. Cross」の投入も準備している。小型クラスの「ID.1」も来年にラインアップへ加わる見通しだ。

小型EVからハッチバックまで商品群を広げるなかで、EV版Golfを急いで追加する必要性は薄れたとみられる。

SSPの適用順も調整が進んでいる。Schäfer氏は、最初の採用ブランドとしてAudiを挙げ、その後にPorsche、Volkswagenが続くとの見方を示した。

一方、P orscheは当初、次期フラッグシップSUVにSSPを採用する計画だったが、その後はガソリン車中心のPPCアーキテクチャへ軸足を移した。

Schäfer氏は、SSP開発の遅れの背景として採算性を挙げた。十分な規模を確保できなければ、収益性を見込めないとの考えを示した。

中国メーカーとの競争が激しくなるなか、プラットフォームに採用する部材や投資計画についても見直しが必要になったという。EVシフトの速度よりも、コスト構造と販売規模を優先する姿勢が鮮明になっている。

生産計画も一部整理した。EV版Golfは投入後、ドイツ・ウォルフスブルク工場で生産する予定だ。

一方、大幅改良を施した内燃機関版Golfは生産拠点をメキシコに移す。次期Golfでは、EVモデルと内燃機関モデルで生産体制を分ける方向となる。

今回の判断は、EVシフトを無理に前倒しするのではなく、既存のIDシリーズの販売体制と次世代プラットフォームの準備状況に合わせて投入計画を組み替えるVolkswagenの姿勢を映している。今後はSSPの実際の適用時期に加え、電動ハッチバック市場で「Golf」の名称がいつ復活するかが焦点となる。

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