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中国の電気自動車(EV)メーカーXpengが、欧州での生産拠点確保に向けてVolkswagenと工場取得を協議していることが分かった。欧州で販売が伸びる一方、EUによる中国製EVへの追加関税で現地生産の必要性が高まっており、生産能力の再編を進めるVolkswagenとの利害が重なっている。

EVメディアのElectrekが5月14日(現地時間)に報じた。報道によると、Xpengはオーストリアでの受託生産ラインの余力が限られてきたことから、欧州域内で新たな生産拠点を探している。

Xpengで北東欧州事業を統括するエルビス・チョン氏は、Financial Times(FT)主催のイベントで、Volkswagenと欧州での生産拠点確保の可能性について協議していると明らかにした。Xpengは現在、オーストリアのMagna Steyr工場で欧州向けのG6とG9を生産している。

同工場は2025年9月に稼働を開始した。2026年モデルのEVセダン「P7+」についても、今年1月に試験生産を終えたという。

Xpengが新工場の確保を急ぐ背景には、欧州需要の拡大がある。4月の海外出荷は6006台で、前年同月比62%増、前月比28%増だった。1〜4月の海外出荷は累計1万7563台と、前年同期比55%増となった。

エルビス・チョン氏は、既存の受託生産ラインだけでは需要増に対応しきれないとの認識を示した。適切な買収先が見つからない場合は、欧州で新工場を建設する案も検討している。

もっとも、同氏はVolkswagenの既存工場について「やや古い」との見方も示した。遊休設備があっても、Xpengの最新EVの生産要件をすべて満たすとは限らないという判断だ。

Volkswagenは足元で、欧州域内の過剰生産能力の圧縮を進めている。2025年12月にはドレスデン工場の稼働を停止した。ドイツ国内でVolkswagenの生産拠点が閉鎖されるのは、88年の歴史で初めてとされる。

同社は2030年までに年間生産能力を約75万台削減する計画だ。オリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は、欧州域内の低稼働工場を中心に、さらに50万台規模を追加削減する案も進めている。

こうした再編の過程で、Volkswagenは中国の提携先企業に欧州の生産能力の一部を振り向ける案も検討してきた。Volkswagenは2023年、Xpengに7億ドル(約1050億円)を出資し、約5%の株式を取得している。

その後、両社は車両の共同開発に加え、Xpengの人工知能(AI)ベースのスマート走行技術でも協業を広げてきた。最近では、VolkswagenがXpengの第2世代VLA 2.0スマート走行ソリューションの初の商用顧客になったと伝えられている。

Xpengの工場取得交渉は、中国EVメーカーの欧州現地化の流れとも重なる。BYDはStellantisなどと欧州の低稼働工場の買収を協議しており、ハンガリー工場は年内の稼働を控える。トルコでも10億ドル(約1500億円)規模の工場について、年末の開業を目指している。

StellantisもLeapmotorとの協業を拡大している。マドリード工場の所有権をスペイン子会社に移したうえで、サラゴサ工場に新たな生産ラインを追加する計画だ。

Xpeng自身も昨年9月、EU域内で新たに5市場へ進出した。販売ネットワークは世界60カ国・地域、1000拠点超に広がっているという。

EUは中国製EVに最大35.5%の関税を課しており、中国メーカーにとって現地生産の重要性は一段と高まっている。欧州域内で生産すれば関税負担を避けやすくなるうえ、消費者への接点も強化できるためだ。

今回の協議は、Xpengにとっては生産能力拡大の足がかりとなり、Volkswagenにとっては余剰設備の活用策となる可能性がある。資本・技術面での協力が進む中、欧州工場を巡る交渉の行方は、両社の現地生産戦略を占う材料となりそうだ。

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