米予測市場のPolymarketで、2026年の米テック業界の人員削減が2025年を上回るとの見方が強まっている。米労働統計局の情報産業の雇用統計を基準とする関連契約では、14日時点でその確率が67%織り込まれた。
ブロックチェーン系メディアのBeInCryptoによると、背景にはMetaの大規模な人員削減計画と社内の混乱がある。市場では、個社の問題にとどまらず、業界全体でリストラが広がるとの観測に資金が集まっているという。
この契約は、米労働統計局の情報部門に関する雇用データを基準に、2027年6月までに結果を判定する仕組み。市場参加者は現時点で、2026年の人員削減が前年を上回る可能性を67%とみている。取引終了日は2027年2月28日。
市場の不安を強めた直接の要因として、Metaの削減計画が挙がっている。Metaは5月20日に約8000人の人員削減を実施する予定で、全従業員の約10%に相当する。あわせて約6000件の採用計画も凍結する。
社内の動揺はすでに広がっている。Blindへの投稿やWiredの報道によると、従業員の間では社内文化を「沈滞していて憂うつだ」と受け止める声が出ている。AI関連の成果を重視する評価制度に加え、5月20日に予定される削減措置が現場への圧力を強めているとの見方だ。
現場の反発も強い。Instagramの従業員1人は現状について、「誰もが不満を抱えている。満足しているのは経営陣だけだ」と語った。こうした認識が一部部署ではなく複数のチームに広がっている点は、社内不安の大きさを示している。
一方、Meta経営陣はコスト効率化の必要性を前面に打ち出す。ジャネル・ゲイル最高人事責任者(CHRO)は、AIインフラへの支出が膨らむ中で、企業運営の効率を高めるための判断だと説明した。
Metaの1〜3月期売上高は563億ドルと前年同期比33%増だった。ただ、2026年の設備投資見通しを1250億ドルから1450億ドルへ引き上げたことを受け、株価は約10%下落した。
対立は人員削減にとどまらない。5月12日には、従業員のキー入力やクリック、画面上の活動を記録し、AIエージェントの学習に活用する「モデル能力イニシアチブ」ツールに反対するビラが配布された。AIシフトを進める過程で、生産性管理の強化とプライバシー侵害への懸念が同時に浮上した格好だ。
Polymarketの参加者は、こうした動きをMeta固有の問題とはみていない。市場ではLinkedIn、Cisco、Cloudflare、Coinbase、Oracleでも2026年の人員削減事例を織り込んでいる。大手テック企業がAI投資の拡大と組織再編を同時に進める中、雇用不安が業界全体に波及しているとの見方が強い。
今後の焦点は、AI投資の拡大が追加の人員削減につながるのか、また社内反発やプライバシーを巡る論争が企業運営にどのような制約を及ぼすのかにある。