Hyperliquidの大口投資家が、暗号資産や主要テック株連動トークンに総額7000万ドル規模のショートポジションを構築し、市場の警戒感が強まっている。ビットコインは一時8万ドルを割り込んだ。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)による流動性供給は、中期的な支援材料として意識されている。
13日付のCointelegraphによると、ビットコインは一時、心理的節目とされる8万ドルを再び下回った。足元の戻り局面で勢いが鈍っているとの見方も出ている。
市場で注目を集めているのは、アドレス「0x8def…992dae」だ。Hyperdashの取引データプラットフォームは、このアドレスがHyperliquidの初期開発者の1人であるLoracleに関連している可能性があるとの見方を示した。このアカウントは2025年9月以降、より積極的な取引を続けてきたとされる。
その背景には、当該アドレスのこれまでの実績がある。累計利益は4200万ドルに達し、直近1カ月も強気ポジションで複数回の利益を上げた。月曜日にはビットコイン、Zcash(ZEC)、Toncoin(TON)のロングを解消し、2週間で920万ドルを確保。木曜日には原油連動の合成トークンでも、9日間の保有で300万ドルの利益を得た。
もっとも、この1週間は取引の方向が変わった。Hyperliquid(HYPE)で4900万ドル、ビットコインで1250万ドルのショートポジションを構築。さらに、半導体企業Sandisk(SNDK US)の株価に連動する合成トークンと、NASDAQ100指数連動トークンでも計800万ドル規模のショートを積み増した。加えて、金連動型ステーブルコインで170万ドルのロングを保有しており、市場ではリスク資産に慎重な姿勢の表れと受け止められている。
ただ、この動きをそのまま中長期の弱気シグナルとみるのは早計だ。app.trade.xyzの取引データ分析によると、このアカウントには、おおむね1週間未満でポジションを解消する短期売買の傾向がある。今回も、短期的なテクニカル要因に反応した取引とみられ、リスク資産全体のファンダメンタルズ悪化を前提にしたポジションとは距離があるという。
マクロ環境は、ビットコインにとって短期の重荷と中期の支援材料が交錯する状況だ。イランを巡る戦闘が続くなか、ブレント原油は1バレル100ドルを上回った。原油高はインフレ圧力を強め、消費を圧迫することで、ビットコインやテック株の重しになり得る。
一方、中期的には追い風も意識されている。米国債利回りが急騰するなか、FRBは金融機関の負担軽減に向けて、米国債と住宅ローン担保証券の買い入れを通じた資金供給を行った。流動性供給は目先の不安を和らげる半面、物価上昇圧力を高める可能性もある。
今回の大口によるショートは、短期的な値動きの重荷となる可能性がある。ただ、ビットコインの中期的な方向感を直ちに覆すシグナルとまでは言い切れない。市場の焦点は今後、原油価格とインフレ動向、そしてFRBのバランスシート拡大が実際の資金流入につながるかどうかに移りそうだ。