AIモデル学習向けのデータ収集ではなく、サービス利用時のトラッキング技術が争点となっている訴訟だ。写真=Shutterstock

OpenAIが、ChatGPT利用者のデータをMetaとGoogleに無断で送信したとして、米国で集団訴訟を提起された。訴状では、ChatGPTのWebサイトにトラッキング技術を実装し、利用者の同意なしに個人情報を外部へ送っていたと主張している。

ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが14日(現地時間)に報じたところによると、訴訟は米カリフォルニア州の連邦地裁に提起された。原告側は、OpenAIが消費者の同意を得ないままChatGPTサイトにトラッキングコードを組み込み、個人情報を外部に送信していたと訴えている。

対象となるのは、chatgpt.comに質問を入力した米国在住者だ。原告側は、OpenAIが利用者の質問内容やアカウント関連情報をMetaとGoogleに送信していたと主張。被告として名指しされたのはOpenAIのみだが、データの送信先としてMetaとGoogleにも言及している。

争点となっているのは、MetaとGoogleがWebサイト運営者向けに提供する分析・広告ターゲティング用のトラッキング技術だ。原告側は、OpenAIがこうしたコードをChatGPTサイトに埋め込み、利用者情報が自動的に送信される仕組みにしていたとみている。送信された情報には、質問のテーマ、アカウント識別子、利用者にひも付くメールアドレスが含まれるとしている。

原告側は、利用者がチャットボットの利用に当たり、相応のプライバシー保護を期待するのは当然だと強調した。ChatGPTには、金融、医療、法律に関する機微な内容が頻繁に入力されるとも指摘している。

さらに、Cyberhavenの報告書を引用し、従業員がChatGPTに貼り付けるデータの約1%は機密情報と推定されると説明した。この数値自体は企業内部の情報流出リスクに関するものだが、原告側は、健康状態や金銭問題、法的助言に関する相談を行う個人利用者にも同様の懸念が当てはまると主張している。

原告は、金銭的損害賠償に加え、こうした慣行の差し止めも求めている。裁判所が原告の主張を認めるかどうかは、利用者がAIサービスに期待するプライバシー保護の水準をどう判断するかに左右される可能性がある。また、登録過程でOpenAIがどの程度まで情報提供を行っていたかも論点となる見通しだ。

今回の訴訟は、OpenAIを巡るこれまでのプライバシー問題とも重なる。2023年には、AIモデルの学習に個人データを利用したとして集団訴訟が提起された。日本の個人情報保護当局や、欧州の非政府組織NOYBによる一般データ保護規則(GDPR)を巡る問題提起も続いている。

今年初めには、Perplexity AIもMetaとGoogleのトラッカーを利用した類似の行為を巡り、別の訴訟を起こされている。消費者向けAIサービスでは、ピクセルベースの追跡を含むトラッキング技術が、新たなプライバシー訴訟の争点として浮上している。Googleも過去に、個人データをAI学習へ不適切に利用した疑いで訴訟を受けたことがある。

OpenAIにとっては、タイミングの悪さも無視できない。OpenAIは新規株式公開(IPO)を準備中とされる一方、今年の売上高とユーザー数が目標を下回ったとの指摘も出ている。集団訴訟が長期化すれば、こうした手続きの不確定要素になりかねない。米国よりデータ保護規制が厳しい市場で、追加の精査を受ける可能性もある。

現時点で審理日程は決まっておらず、OpenAIも今回の提訴について公の立場を示していない。

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