ビットコインが8万1000ドル台を維持するなか、オンチェーン指標では強気シグナルが相次いでいる。一方で、アルトコイン市場では出来高の鈍化とモメンタムの失速が目立っており、相場全体の戻りが広がるかどうかはなお見極めが必要な状況だ。
14日付のCryptopolitanによると、ビットコインは4月の安値から37%上昇する過程で、短期保有者の損失圧力が解消された。長期サイクル指標でも、2023年以降で初めて強気シグナルが点灯したという。
注目されているのは、短期の売り圧力の後退だ。オンチェーン分析者のアクセル・アドラー・ジュニアは、短期保有者(STH)の損失圧力が5月8日にゼロまで低下し、その後も5日連続で同水準を維持したと説明した。
この指標は、保有期間155日未満の投資家が抱える未実現損失を示す。2月24日には27.9%まで上昇し、3月末から4月初めにかけてビットコインが6万6000ドル〜7万7000ドルで推移した局面でも18〜22%台にとどまっていた。
同期間には、短期保有者の保有比率も28%超から22.2%まで低下し、直近3カ月で最低水準となった。短期売買を志向する投資家の比重が低下し、損失を抱えた売り急ぎが出にくい構図になっていることを示している。
利益確定売りが続いても相場が崩れなかった点も、市場では前向きに受け止められている。CryptoQuantの分析者カルメロ・アレマンは、5月1日以降の9日間、投資家が含み益のある状態でビットコインを売却し続けたと指摘した。調整済み支出産出利益比率(aSOPR)がこの間、1.0を上回って推移したためだ。
アレマンは、1日程度の利益確定であれば市場への影響は限定的な可能性があるものの、9日連続で続いた場合は、その売りを吸収するだけの買い需要があることを示すと評価した。aSOPRが1.0超を維持したことは、利益確定売りが出ても急落にはつながらなかったことを意味する。
別のCryptoQuant分析者CW8900も、ビットコインの強気・弱気市場サイクル指標が2023年初め以来初めて、初期の強気シグナルを示したと述べている。
もっとも、楽観一辺倒ではない。CryptoQuantが5月13日に公表したレポートでは、ビットコインの200日移動平均線が約8万2400ドルに位置し、2022年3月に上値を抑えた水準とほぼ重なると指摘されている。加えて、Coinbaseのビットコイン価格プレミアムは4月末以降マイナス圏に沈んだままで、米機関投資家の需要が今回の上昇を十分に裏付けていない可能性も意識されている。
アルトコイン市場は、ビットコイン以上に方向感が定まっていない。一部の分析では、アルトコイン売買への関心が長期平均を上回り始めたとされる。実際、アルトコイン出来高の30日移動平均線は365日平均線を上回った。ビットコインが4月中旬以降の相場を主導してきたことも、過去の局面ではアルトコインが対ビットコインで持ち直す前提条件の一つとみなされてきた。
ただ、10x Researchは慎重な見方を示している。同社は14日のX(旧Twitter)投稿で、アルトコインのモメンタムは30日移動平均線を明確に上抜けできないまま、その近辺で失速していると指摘。出来高も再び減少しているとした。
個別では、BNBについて、GrayscaleによるETF申請とCoinbaseのロードマップ採用を背景に相対的な強さがみられると評価した。一方で、アルトコイン全体のモメンタムが30日移動平均線を下回れば、買いポジション解消のシグナルになり得ると警戒感を示した。
市場の関心は、ビットコインが8万1000ドル台を定着させ、機関投資家需要の裏付けを得られるかどうかに移っている。同時に、アルトコイン市場でも出来高とトレンドがそろって回復するかが、地合い改善を見極める焦点となっている。