ドナルド・トランプ米大統領(写真=米ホワイトハウス)

ドナルド・トランプ米大統領が2026年1〜3月に3642件の株式取引を行っていたことが、米政府倫理局への開示資料で明らかになった。売買対象には半導体、金融、暗号資産関連の銘柄が多く含まれ、政権の政策との重なりから利益相反を懸念する声が出ている。

この件は、ブロックチェーン関連メディアのBeInCryptoが14日(現地時間)に報じた。公開されたのは米政府倫理局の278-T開示書類で、全113ページに及ぶ。歴代大統領が維持してきたブラインドトラストの慣行から大きく外れる事例として受け止められている。

開示資料によると、取引件数は極めて多い水準だった。米大統領はリンドン・B・ジョンソン以降、個人資産を適格ブラインドトラストに預け、利益相反の可能性を抑える手法を主に採ってきた。

ジミー・カーターはピーナツ農園を売却し、バラク・オバマは米国債とインデックスファンドを保有した。ジョー・バイデンも在任中はブラインドトラスト方式を用いたとされる。

一方、トランプ氏の1〜3月のポートフォリオには、NVIDIA、Microsoft、Broadcom、Amazon、Appleなどの個別銘柄の買い付けが含まれていた。1回当たりの購入額は100万〜500万ドルだった。

これに対し、数百件に及ぶ個別銘柄の売却は、1万5000ドルから最大2500万ドルの範囲で記載されていた。

銘柄の構成は、政権の政策と重なる業種に偏っていた。NVIDIA、Broadcom、AMDなどの半導体株は、米国内の半導体生産能力拡大政策と重なる。

時期的にも、アジアのサプライチェーンを意識した関税調整が続いていた局面と重なる。JPMorgan、Goldman Sachs、Visaなど金融株の組み入れも、2026年に入って続く規制緩和の流れと符合するとの見方が出ている。

暗号資産関連銘柄も売買対象に含まれていた。トランプ氏はCoinbase、Robinhood、SoFiの株式を買い付けていた。

これらの取引は、政権が暗号資産に友好的な政策を打ち出していた時期に行われたという。当時、米政府は行政命令や連邦ビットコイン準備制度、「Trump Account」退職プログラムなどを進めていた。

とりわけRobinhoodを巡っては、同社がこのプログラムの初期の受託先となっていたことから、利益相反への懸念が指摘された。ホワイトハウスは、今回の開示は現行の株式取引開示法を完全に順守したものだと説明している。

米政界ではすでに、議会関係者による個別株取引の禁止を巡る議論が進んでいる。スコット・ベッセント財務長官も、議員による個別銘柄の取引禁止を公に支持した。

ベッセント氏は「私は議会による個別銘柄取引の禁止を推進している」「公職は国民に奉仕するものであり、富を蓄積する手段であってはならない」と述べた。米メディアは、こうした論理が行政府の株式取引にも徐々に及びつつあると指摘している。

ただ、2012年制定の株式取引開示法は、公職者に取引の開示義務を課している一方、取引そのものは禁止していない。

今回、最も大きな論点として浮上したのがDell Technologies株だ。開示資料には、トランプ氏が2月10日以降、複数回にわたり数百万ドル規模でDell株を買い付けていた記録が含まれていた。

その後、5月8日にトランプ氏はホワイトハウスの行事でDellを公然と称賛し、同社株は同日約12%上昇した。Dell家は2025年12月、「Trump Account」プログラムに62億5000万ドルを約定していたという。

焦点は、今回の取引パターンが正式な調査につながるかどうかだ。下院・上院の倫理委員会と米政府倫理局がどのような判断を示すかが注目される。

今回の開示は現行の報告ルールに沿ったものだが、これまで議会中心だった株式取引規制の議論を行政府にまで広げる契機になっている。トランプ氏の取引が、半導体、金融、暗号資産といった政策恩恵が見込まれる分野と重なっているため、今後は規制見直しを求める議論が一段と強まる可能性がある。

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