通信周波数の割り当てを巡っては、価格だけでなく品質やカバレッジも評価する方式への転換が提起された。写真=Shutterstock

情報通信政策研究院(KISDI)は14日、周波数割り当て制度について、入札額だけでなく通信品質やカバレッジなどの非価格要素も評価する「点数制オークション」の導入を提起した。価格競争偏重の制度を見直し、通信事業者の自主的なネットワーク投資を促すのが狙いだ。

周波数は移動通信サービスの基盤となる希少資源で、各国政府はその配分手法としてオークションを活用してきた。一般的には、事業者が利用権の対価を提示し、落札後に政府がネットワーク整備義務を課す仕組みが採られている。

ただ、KISDIは、価格中心のオークションにはサービス品質の向上やカバレッジ拡大を十分に促しにくい面があると指摘する。周波数獲得を巡る競争が過熱すれば、事業者の負担増を通じて通信料金に影響しかねないという見方も示した。

◆価格中心の割り当てでは投資促進に限界

KISDIが公表した報告書は、従来の価格競争中心のオークションに、ネットワーク品質やカバレッジといった要素を組み合わせた「点数制オークション」が必要だと提言した。入札額だけでなく、事業者が提示するネットワーク構築水準も併せて評価し、周波数を配分する考え方だ。

報告書によると、韓国では2011年、2013年、2016年、2018年の周波数オークションで、帯域ごとに基準となる基地局数を定め、一定期間内に所定比率以上の整備を求める直接規制が導入された。義務を果たせない場合には、再割り当ての拒否や一部帯域の回収といった制裁も可能とし、設備投資を促してきたという。

2026年の3G・LTE周波数の再割り当てでも、この流れは維持された。政府は5Gスタンドアロン(SA)への移行を再割り当て条件として義務付け、周波数利用の条件を通じてネットワーク高度化の方向性を直接示した。

一方でKISDIは、こうした直接規制は事業者の負担を高め、非効率な投資を招く可能性があると分析する。報告書は「すべての事業者に画一的な基準を適用すれば、一部事業者に過度な順守負担が生じ得る」と指摘した。例えば、周波数需要が低い一方で整備コストの高い地域にも同じ基準を課せば、社会的便益を上回る投資が発生しかねないとしている。

また、SK TelecomとLG Uplusが2.6GHz帯の再割り当て対価を巡って異なる見解を示したことも、現行制度の限界を示す事例に挙げた。同じ帯域でも、確保した時期や過去の落札価格、再割り当て条件によって事業者負担が変わり、公平性を巡る議論が生じたという。

◆事業者の自主判断を投資促進につなげる

政府も一部では、直接規制ではなく価格インセンティブを活用する仕組みを導入している。2021年には、利用期間が満了する3G・4G周波数の再割り当て対価を算定する際、通信3社の5G無線局整備数に応じて対価を引き下げる方式を適用した。5G無線局を多く整備するほど再割り当て対価の負担が軽くなる仕組みで、価格面の誘因によって5G投資を促した事例といえる。

ただ、通信事業者にとっては、再割り当て対価の負担とネットワーク投資負担を同時に考慮しなければならない。KISDIが提案する点数制オークションは、その代替案として位置付けられる。政府があらかじめ配点基準を公表し、事業者は入札額とともに、カバレッジ、品質、投資計画などを提示する方式だ。

この方式では、単に高い金額を提示した事業者ではなく、価格とネットワーク構築計画を総合評価したうえで、社会全体の便益が最も大きい事業者を選ぶことになる。

報告書は、点数制オークションには事業者が投資水準を自ら選択しやすくする効果があるとみる。直接規制では政府が一定の品質水準を義務として定めるのに対し、点数制では事業者が自社のコスト構造や市場戦略を踏まえ、どの程度の品質やカバレッジを実現するかを自ら決められるという。

品質面で高い水準を提示すれば評価では有利になる一方、構築コストは増える。報告書は、入札額は高いが投資計画が乏しい事業者と、入札額は相対的に低くてもカバレッジや品質計画に優れる事業者が競争できる仕組みになると説明した。

◆焦点は評価式の客観性と予見可能性

KISDIは、配点ルールを適切に設計できれば、政府は従来の直接規制より大きな社会的便益を実現できると分析した。事業者が自社の利益を考慮して入札する過程で、社会的に効率的なネットワーク品質を自発的に選ぶようになるというのが、その説明だ。

もっとも、点数制オークションを直ちに導入できるわけではない。最大の論点は評価式の設計で、入札額、品質、カバレッジ、投資規模をどのような比重で評価するかによって落札結果は変わり得る。評価指標の客観性も重要な課題となる。

評価対象を基地局数のような明確な設備基準に置くのか、それとも利用者が実際に体感する速度や遅延、カバレッジ品質に置くのかによって、制度設計の方向性は大きく変わる。政府がどこまで精緻で予見可能な評価体系を構築できるかが鍵であり、事業者側にとっても、投資計画が点数として反映される仕組みになれば、ネットワーク投資を増やす誘因になるとした。

KISDIは、直接規制中心の枠組みから脱し、投資インセンティブを高めつつ公共性も確保できる新たな規制設計が必要だと提言している。

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