MegazoneCloudは5月14日、企業でマルチエージェント活用が本格化する中、運用面の混乱や統制不全の解消を支援する「エンタープライズAIオーケストレーター」構想を打ち出した。自社で先行して取り組んできたAIネイティブ実践の成果を基に、企業のAI導入を実際の業績改善につなげる支援を強化する。
同日、同社はソウルのロッテホテルでメディアデーを開催した。ヨム・ドンフン代表は、今後は企業が数百規模のAI SaaSアプリケーションやカスタムエージェントを同時に運用する時代になるとした上で、「統制のないマルチエージェント環境は深刻な混乱を招く。産業、ソリューション、技術への深い理解を備えたエンタープライズAIオーケストレーターが不可欠だ」と述べた。
同社はこれまで、自社で先行導入・検証したAIネイティブの取り組みを顧客企業に展開する戦略に力を入れてきたという。こうしたAIネイティブ戦略は、業績面でも成果を上げたとしている。
ヨム代表は、「自ら実践していないことを顧客に勧めることはできないという『Customer Zero』の原則の下、社内業務にAIを適用し、大幅な生産性向上を実現した」と説明した。従来は開発者が3日かけていた作業を1時間で完了し、シニアエンジニア1人で従来の5~7人チームに相当する生産性を確認したという。
さらにヨム代表は、AIネイティブ戦略の成果として、「昨年は創業以来初の営業黒字を達成し、売上高は28%増、海外売上高は1億ドルを突破した」と明らかにした。その上で、「今年はマルチエージェントの混乱を解消するエンタープライズAIオーケストレーターの役割を担う」と述べた。
イベントにはヨム代表のほか、コン・ソンベCAIO、ウィ・スヨンHALOユニット長、ファン・インチョルCROが登壇した。AI事業の方向性、AI時代のセキュリティ体制、業種別オファリング戦略などを説明し、企業のAI導入を実際の成果につなげる実行策を提示した。
コン・ソンベCAIOは「The Era of ROI、収益中心のAI実行戦略とAI FDE」と題して講演し、AI FDEの活動成果を紹介した。
コンCAIOは、「AI FDE(forward deployed engineer)は、昨年のAIネイティブ転換以降、顧客現場でAIプロジェクトを遂行しながら実戦経験を積んできた150人規模の組織だ」と説明した。その上で、「FDE運営の高度化を通じて経験とノウハウを継続的に蓄積し、顧客のAIプロジェクトにおけるROIの最大化を目指す」と述べた。
ウィ・スヨンHALOユニット長は、「AIで加速するセキュリティ脅威、AIでリアルタイム防御」と題した発表で、「エージェンティックAIが人の指示なしに攻撃を仕掛ける時代には、新たな防御パラダイムが必要になる」と指摘した。HALOについては、検知から対処までをAIが自律的に判断して実行する超自動化型の対応基盤を提供し、AIによる攻撃速度に対抗すると説明した。
またウィ氏は、「昨年のHALO売上高は前年比400%増だった」と明らかにし、「HALOの超自動化対応基盤を軸に、今年も高成長を続ける」と語った。
ファン・インチョルCROは「顧客事業の理解に基づくインダストリーオファリング」と題して講演し、「単一技術や特定ソリューションだけでは、企業の複雑な要件には対応できない」と強調した。インダストリーオファリングを通じて顧客のAI投資をROIにつなげることこそ、エンタープライズAIオーケストレーターの役割だと位置付けた。
さらにファンCROは、昨年は難度の高い金融機関向け案件で多様なAIプロジェクトを手がけ、ネットワーク分離、監査対応、グループ会社ごとの権限ポリシーといった複雑な課題への対応経験を蓄積したと説明した。今後は製造・エネルギー、バイオ・ヘルスケア、モビリティ、公共分野などでも、エンタープライズAIオーケストレーターとしての役割を担う方針だ。