暗号資産リサーチ企業K33は、Strategyの永続優先株「STRC」への需要が、同社のビットコイン追加購入を後押しし、3〜4月の相場を下支えした可能性があるとの見方を示した。STRCの配当日程とATM発行が連動する構図が、資金調達とビットコイン買いの拡大につながったという。
ブロックチェーンメディアのCoinPostが14日に報じたところによると、K33のリサーチ責任者ベトル・ルンデ氏は、STRCへの買い需要とStrategyのビットコイン購入スキームが、3〜4月中旬の価格動向に大きく影響した可能性が高いと分析した。
焦点となっているのはSTRCの配当構造だ。STRCは毎月末に配当を支払い、配当権利に関わる権利落ち日は毎月15日に設定されている。
投資家が配当権利の取得を狙って15日前後にSTRCを積極的に買い、株価が基準価格である100ドル近辺まで戻ると、Strategyはこれに合わせてATMで追加発行を実施する。その後、調達した資金でビットコインを購入する流れが繰り返されてきたという。
この仕組みを通じたビットコイン購入は、2026年に入って急速に拡大した。購入量は1月の4467BTCから、3月には2万2131BTC、4月には4万6872BTCへと増加した。5月11日時点の総保有量は81万8869BTCで、上場企業として最大のビットコイン保有量を維持している。
市場では、とりわけ4月の購入規模に注目が集まっている。STRCの年換算利回りは現在11.5%で、機関投資家の需要を呼び込む材料の一つとみられている。
ルンデ氏は、Strategyが短期的に権利落ち日前後で相応の規模のビットコイン供給を吸収していると指摘し、相場の下支え要因になっていると評価した。
もっとも、5月に入ってからはペース鈍化の兆しも出ている。STRCが基準価格を回復するまでに時間を要しており、5月のSTRC経由のビットコイン購入は1BTCにとどまったという。関連需要がピークに近づいている可能性もあるとした。
加えて、STRCの売買動向にも変化が出ている。5月11日の出来高は、4月15日以降で最高水準まで急増した。ルンデ氏は「市場参加者が週初に大規模なビットコイン購入発表が出る可能性を織り込み始めているのかもしれない」との見方を示した。
Strategyは4月17日、STRCの配当支払い頻度を月1回から月2回へ変更する案を提案した。同議案は6月8日の年次株主総会で採決される予定だ。
配当頻度の引き上げはSTRC需要を刺激する可能性がある一方、長期的には配当負担の増加がリスクとして残る。焦点は、STRC需要が再び持ち直し、Strategyのビットコイン購入が再加速するかどうか、そして配当構造の見直しが可決され、資金調達とビットコイン購入のパターンを変えるかどうかの2点にある。
K33は、短期から中期ではSTRCを通じた資金流入がビットコインの需給を支える可能性がある一方、長期では需要の持続性と配当コストの両面が問われるとみている。
今回の分析は、Strategyの優先株の設計が単なる資金調達手段にとどまらず、ビットコイン購入のタイミングにも影響し得ることを示した。配当日程、ATM発行、ビットコイン購入が連動し、企業の資金調達スキームが暗号資産市場の需給に波及する構図として注目される。