写真=Ledger Nano Sハードウェアウォレット(Ledger提供)

暗号資産向けハードウェアウォレットを手掛けるLedgerは、米国で検討していた新規株式公開(IPO)を見送った。市場環境の悪化を踏まえた判断で、今後は非公開市場での資金調達を軸に代替策を探る。

Cryptopolitanが13日(現地時間)に報じたところによると、Ledgerは米上場計画を正式に保留した。同社は年初以降、Goldman Sachs、Jefferies、Barclaysなどと協議を進めてきたが、米証券取引委員会(SEC)への非公開S-1は提出していなかった。

市場関係者の間では、同社の企業価値は約40億ドル(約6000億円)とみられていた。IPO見送りを受け、Ledgerは公開市場ではなく、非公開での投資受け入れなど別の資金調達手段の検討に入った。

Ledgerは、秘密鍵をオフラインで保管するハードウェアウォレットを展開する。2014年にフランス・パリで設立され、2023年には約15億ドル(約2250億円)の企業価値が付いたとされる。年間売上高は1億ドル(約150億円)を超えると伝えられている。

背景には、暗号資産関連企業を取り巻くIPO市場の冷え込みがある。2025年には上場機運が高まったものの、その後は市場の変動拡大に加え、暗号資産価格の下落や取引量の減少が重なり、新規上場銘柄への投資需要が弱まった。Ledgerも見送り理由として「不利な市場環境」を挙げた。

同様の動きは他社にも広がっている。米暗号資産交換業大手のKrakenは2025年末にSECへ非公開で書類を提出したが、2026年初めに数十億ドル規模のIPOを中断した。

2026年に入って米国でIPOを終えた暗号資産企業は、ほぼBitGoに限られるとみられる。ただ、上場後の株価は市場の期待に届いていない。BitGoは1月に約2億1300万ドル(約319億5000万円)を調達し、公募価格は18ドルと想定レンジを上回ったが、上場直後に20%超上昇した株価はその後失速し、足元では公募価格を約36%下回る水準で推移している。

もっとも、Ledgerが米国市場での事業拡大自体を取りやめるわけではない。同社は3月、ニューヨークに新オフィスを開設し、Circle Internet出身のジョン・アンドリュース氏を最高財務責任者(CFO)に起用した。アンドリュース氏は、ステーブルコインUSDCの発行元であるCircleで、資本市場業務や投資家対応を担っていた。

Ledgerはこのニューヨーク拠点について、米事業拡大に向けた数百万ドル規模の投資の一環と位置付けている。法人向けインフラプラットフォーム「Ledger Enterprise」の業務ハブとし、社内で数十人規模の新規採用も進める計画だ。

パスカル・ゴティエ最高経営責任者(CEO)は、米資本市場への関心を公に示してきた。1月には記者団に対し、暗号資産の資金は「いまのニューヨークにあり、世界の他のどこにもない。とりわけ欧州にはない」と述べていた。

今回の判断は、Ledger単独の動きにとどまらず、暗号資産企業の上場戦略が再び慎重姿勢に傾いていることを映す。市場が安定するまでは、米株式市場への上場よりも、非公開での資金調達と事業拡大を優先する動きが広がる可能性がある。

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