米上院で審議中の暗号資産市場構造法案「CLARITY Act」が、上院銀行委員会での可決に近づいている。共和党内で唯一、態度を明確にしていなかったジョン・ケネディ上院議員が賛成に回る方針を固めたことで、法案は上院本会議入りが視野に入ってきた。
ブロックチェーン関連メディアのBeInCryptoが13日(現地時間)に報じたところによると、ケネディ議員は15日に予定される上院銀行委員会の審議で、CLARITY Actに賛成票を投じる見通しだ。上院銀行委員会は共和党13人、民主党11人で構成されており、これまで共和党の全員賛成が可決の前提とみられていた。ケネディ議員が最後の未定票だったため、今回の判断で委員会通過の公算は大きく高まった。
共和党内の合意は、一部修正を条件にまとまった。報道によれば、ケネディ議員はティム・スコット上院銀行委員長との協議を経て、暗号資産業界の関係者に対する受託者責任(fiduciary duty)条項の追加と、住宅関連の「Build Now」法案の一部を盛り込む案に同意した。ケネディ議員は、業界関係者に一定水準の受託者責任を明確にする内容が法案に反映されたと説明している。
今回の動きは、長く停滞していた上院での暗号資産規制の議論が再び動き出したことも意味する。スコット委員長は、ステーブルコインの収益に関する規定などを巡る数カ月の協議を経て、全309ページの修正法案を公表した。CLARITY Actは昨年7月、下院で賛成294票、反対134票で可決されているが、上院ではステーブルコイン規制やDeFi(分散型金融)関連条項を巡る対立で審議が遅れていた。
ホワイトハウスも今回の進展を前向きに評価した。ホワイトハウスで暗号資産・AI政策を担当するデービッド・サックス氏は、上院銀行委員会での審議について「米国の競争力の観点から重要な前進だ」と述べた。さらに、今回の立法手続きは米国を「世界の暗号資産の首都」にするための中核的な一歩だとして、妥協案をまとめたスコット委員長と委員会を称賛した。
もっとも、委員会採決までには不確定要素も残る。所属議員は14日の締め切りまでに100件を超える修正案を提出した。エリザベス・ウォーレン、アンディ・キム、クリス・バン・ホーレンの各議員ら民主党側は、DeFi規制の強化色が強い修正案を推進している。これに対し、DeFi教育基金は、こうした修正案は実質的に「反DeFi」だとして反発している。
提出された修正案には、ブロックチェーン規制の明確化、ノンカストディアル型ソフトウェア開発者の保護、DeFiフロントエンドのインターフェース規制、トークン化に関する条項などが含まれるという。ケネディ議員は民主党側の修正案について議論に応じる姿勢を示す一方、倫理規定の強化条項は委員会段階で通過する可能性が低いとの見方を示した。
市場では、法案成立の可能性を比較的高く見ている。予測市場Polymarketでは、CLARITY Actが2026年中に最終成立する確率が約73%と織り込まれている。直近の世論調査でも、暗号資産市場の規制枠組み整備に賛成する有権者が多数を占めた。
委員会採決が予定通り行われれば、法案はメモリアルデー休会前にも上院本会議に進む見通しだ。米国の暗号資産市場の制度設計を巡る議論は、委員会段階を超え、上院全体での採決局面に移る可能性が高まっている。