米PPIの上振れを受け、ビットコインは一時7万5000ドル台まで下落した。写真=Shutterstock

米国の4月生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回ったことを受け、暗号資産市場に売りが広がった。利下げ観測の後退でリスク資産全般への警戒感が強まり、ビットコインは一時7万5000ドル台まで下落した。

Cointelegraphによると、ビットコインは4月PPIの発表後に下げ幅を拡大した。前日の消費者物価指数(CPI)に続いてPPIも予想を上回り、インフレ圧力の根強さが改めて意識された格好だ。

米労働統計局(BLS)は、4月のPPI上昇幅が2022年3月以降で最大だったと公表した。市場では、米連邦準備制度理事会(Fed)の利下げ開始が後ずれし、金融引き締めが長引くとの見方が強まった。

相場の重荷となっているのは、中東情勢の緊迫化と原油高だ。エネルギー価格の高止まりが物価全体を押し上げ、家計の消費余力を一段と圧迫しかねないとの懸念も広がっている。市場分析会社Kobeissi LetterはX(旧Twitter)への投稿で、消費者は新たな深刻な圧力に直面する可能性があると指摘した。

利下げ期待も急速にしぼんだ。Chicago Mercantile Exchange(CME)GroupのFedWatchツールによると、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ実施確率は1.4%にとどまった。原油高が続けば短期・長期金利がそろって上昇し、株式市場のバリュエーションにも逆風となりかねないとの見方が出ている。資産運用会社Mosaic Asset Companyも、金利上昇の可能性がリスク資産の上昇基調を阻害する要因になり得るとみている。

もっとも、市場では上昇シナリオが完全に崩れたとの見方ばかりではない。アナリストのDan Crypto Tradesは、ビットコインが8万2000ドルのゾーンを上抜ければ、8万4000ドルのギャップを埋める可能性が高まり、その後は一段高につながる余地があると述べた。米株式市場がCPI発表直後の下げから一定程度持ち直した点にも触れ、市場は中東情勢を巡るより明確なシグナルを待っていると付け加えた。

テクニカル面では、CMEのビットコイン先物における価格の空白(ギャップ)も短期材料として意識されている。アナリストのRekt Capitalは、ビットコインが週足終値で赤色ゾーン上限を下回って引けたことで、当面はCMEギャップの範囲内でのもみ合いが続く可能性が確認されたと分析した。抵抗線を突破できないまま、相場がマクロ要因に一段と敏感に反応している状況を示すとみている。

目先の焦点は大きく2つある。1つは、中東情勢と原油高がインフレに追加的な圧力を与えるかどうか。もう1つは、ビットコインが8万ドル割れから持ち直し、8万2000ドルの抵抗線を再び試せるかどうかだ。当面は、物価動向と金利見通しがビットコインの短期的な方向感を左右する主因となりそうだ。

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