韓国で政府による「包摂金融」の拡大要請が強まり、銀行の負担感が増している。政策庶民金融の供給拡大に加え、長期延滞債権の処理加速も同時に進んでおり、金融業界では延滞率の上昇や引当負担の増加など、健全性への影響を懸念する声が広がっている。
金融業界によると、民間バッドバンクの「Sangnoksu First Securitization SPC(Sangnoksu)」に出資する金融会社は13日、同社が保有する債権を売却することで合意した。イ・ジェミョン大統領が長期にわたる債権回収慣行を「原始的な略奪金融」と厳しく批判したことを受けた対応だ。
金融委員会は同日、緊急会議を開き、Sangnoksuが保有する長期延滞債権の処理策を協議した。出資会社や資産管理会社が参加し、保有中の長期延滞債権をできるだけ早期に「セドヤク基金」に一括売却する方針を確認した。
セドヤク基金の買い取り対象から外れる残余債権についても、可能な限り早期にKAMCOへ売却し、長期の取り立てを中止することにした。
セドヤク基金が債権を買い取った場合、取り立ては直ちに停止される。基礎生活受給者など脆弱層の債務は、別途審査なしで償却される見通しだ。
金融委員会は今後、Sangnoksuと同様の形で長期延滞債権を保有する流動化会社についても、全数調査を実施する方針だ。
こうした動きと並行し、政府と金融当局は銀行に対し、包摂金融の強化を連日求めている。中・低信用者向け融資の拡大も要請しており、関連議論は一段と強まっている。
イ・ジェミョン大統領は閣議やSNSを通じて、金融機関の公共性強化を繰り返し強調してきた。大統領府も、高信用者中心の融資構造を問題視し、金融アクセス拡大の必要性に言及している。
金融委員会は今月中に「包摂金融推進団」を立ち上げる準備を進める方針を示した。推進団では、信用評価体系の見直し、中・低信用者向け融資の拡大、政策庶民金融の再設計など、金融業界全体の構造改革が議論される見通しだ。
政策庶民金融の供給はさらに拡大する可能性がある。金融監督院は今年、銀行の「新希望ホルシ」供給目標を前年比20%増の5兆1000億ウォンに設定した。
包摂金融強化の要請が続く中、単なる目標引き上げにとどまらず、実際の供給対象を低信用層中心へ再編する案まで議論されているという。金融業界では、実質的な追加拡大圧力が続いているとの受け止めが出ている。
新希望ホルシは代表的な政策庶民金融商品とされる。低所得・低信用者向けの無担保信用融資で、2010年の取扱開始以来、昨年末までに約293万人へ42兆ウォン超を供給した。
<健全性への負担拡大、金融業界に慎重論>
課題となっているのは、包摂金融の拡大が銀行の収益性と健全性に直接的な負担となり得る点だ。実績競争が過度な数値目標の達成に流れかねないとの懸念もある。
金融当局は、銀行ごとの包摂金融実績を評価する総合的な評価制度の整備も検討している。金融業界では、政策履行を求める圧力が事実上強まっているとの見方が出ている。
中・低信用者向け融資の比率が急速に高まれば、延滞率の上昇は避けにくいとの指摘も多い。
実際、銀行の新希望ホルシの延滞率は昨年末時点で1%台半ばだが、さらに信用力の低い借り手の比率が高まれば、不良債権化リスクが急速に増すと金融業界はみている。低信用者の比率が過度に上昇すれば、銀行の引当負担も拡大せざるを得ないという。
政策庶民金融制度の持続可能性を不安視する声もある。政府と与党は、政策庶民金融の財源を安定的に確保するため「庶民金融安定基金」の新設を進めているが、代位弁済の増加ペースが速すぎるとの指摘が出ている。
「サンシャインローン15」や最低信用者特例保証など主要政策商品の回収率は1桁台から10%台前半にとどまる一方、代位弁済の規模は毎年数千億ウォン単位で発生している。政策金融に伴う損失負担が金融会社に転嫁され、一般の借り手の金融コスト上昇につながりかねないとの懸念もある。
主要都市銀行の延滞率は足元で上昇基調にある。高金利の長期化と景気減速が重なり、家計向け融資や個人事業主向け融資の不良化懸念も強まっている。
金融業界では、包摂金融の拡大自体は必要だとしながらも、ペース配分とリスク管理を並行して進めるべきだとの声が出ている。
金融業界関係者は「金融の社会的責任を求める声が高まっている」とした上で、「脆弱層支援という政策の方向性には共感するが、負担が多方面で増しているのも事実だ」と話した。