写真=SanDisk

SanDiskは、エンタープライズSSDの事前処理(プリコンディショニング)にかかる時間を約1週間から6.5時間に短縮できる擬似乱数アルゴリズム「SPランダム(SanDisk Pseudo Random)」をオープンソースとして公開した。大容量SSDの導入前準備を効率化し、データセンターやAIインフラの運用負荷軽減につなげる狙いだ。

米TechRadarが12日(現地時間)に報じたところによると、SanDiskは中核技術であるSPランダムを、ストレージテストツール「FIO(Flexible IO Tester)」向けの拡張機能として配布している。

新たに導入したエンタープライズSSDは、本番環境に投入する前に性能を安定させるための事前処理が必要となる。この工程では、コントローラがデータ書き込みを進めながら、ガベージコレクションやウェアレベリングといった内部処理を実行する。

こうした処理を経て定常状態(Steady-state)に達して初めて、ドライブのI/O性能は本番環境で安定して評価できる水準になる。

従来は、ドライブ総容量の2倍超に相当する書き込みが必要だった。このため、128TBのSSDでは約160時間、つまりおよそ1週間を要していたという。これに対し、SPランダムを使えば同じ作業を6.5時間で終えられるとしている。

256TBの大容量ドライブでも、従来は約250時間かかっていた事前処理を同程度の時間まで短縮でき、時間削減率は最大97%超に達するとしている。

大幅な短縮を可能にしたのは、SPランダム独自の計算手法だ。複数回に分けて書き込む代わりに、オーバープロビジョニングの分散をあらかじめ計算し、1回の物理書き込みで事前処理を完了できる仕組みという。

ドライブ領域を重ね合わせるように分割し、アドレスごとに分散量を調整する数理設計によって、性能安定化に必要なリソースを抑えたとしている。

SanDiskは同技術をオープンソース化することで、ストレージ業界全体で活用しやすい環境を整えた。大規模SSDを短期間で立ち上げる必要があるハイパースケールデータセンターや、AIインフラの運用現場での活用を見込む。

ドライブ1台当たり150時間超の準備時間を削減できれば、クラウド事業者にとっては導入の迅速化と運用コストの圧縮に直結するためだ。

とりわけ、数千台規模のドライブが並列に動作するAIワークロードでは、わずかな性能のばらつきも影響しやすい。学習や推論で一貫した性能が求められる環境では、こうした事前処理の効率化がインフラ全体の運用改善につながる可能性がある。

一方、一般消費者向けPCは単一ドライブ構成が中心のため、事前処理時間の短縮による効果は限定的とみられる。

今回の取り組みは、大規模なストレージアレイを運用する企業にとって、より実務的な選択肢を提示する動きといえそうだ。SanDiskは数理設計によって実際の時間短縮効果を打ち出しており、AIインフラの構築スピードやデータセンター運用の効率化への波及が注目される。

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