CLARITY法案に反対する書簡を送付した米主要労組5団体。写真=Reve AI

米国の主要労組5団体が、暗号資産規制の枠組みを定める法案「CLARITY」に反対の姿勢を鮮明にした。13日、全上院議員に書簡を送り、14日に予定される上院銀行委員会での審議を前に、法案への反対票を投じるよう求めた。公的年金を含む退職年金や個人の貯蓄が、市場拡大のしわ寄せを受けかねないと警告している。

CNBCの報道によると、書簡に名を連ねたのは、米労働総同盟産別会議(AFL-CIO)、Service Employees International Union(SEIU)、American Federation of Teachers(AFT)、National Education Association(NEA)、American Federation of State, County and Municipal Employees(AFSCME)の5団体。各団体は、同法案が労働者の退職年金制度の安定性を損なう恐れがあると主張した。

労働界は、CLARITY法案について、十分な規制や保護措置がないまま暗号資産を金融システムの中核に組み込もうとする内容だとみている。AFL-CIOは上院銀行委員会所属議員に宛てたメールで、こうした枠組みは金融システムを不安定化させる可能性があり、発行体やプラットフォームには有利でも、労働者には不利益になりかねないと訴えた。

5団体は特に、法案がリスクの負担を労働者や退職者に転嫁しかねない点を問題視した。共同書簡では「この法案は暗号資産業界による過大なリスクテイクを許し、その賭けが失敗した際の代償を支払うのは、業界の億万長者ではなく労働者と退職者だ」と指摘。年金資産や貯蓄が市場のボラティリティーにさらされる恐れがあると訴えた。

上院銀行委員会は12日、全309ページに及ぶCLARITY法案の修正草案を公表した。14日に審議する予定で、米国の暗号資産規制の整備を柱に据える。内容には、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の所管区分の整理に加え、ステーブルコイン関連の規定や、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を巡る制限条項などが盛り込まれている。

今回の修正草案で最大の争点となっているのは、ステーブルコインに対する利息や報酬の扱いだ。草案では、銀行預金と経済的・機能的に同等とみなされるステーブルコインについて、利息や収益の支払いを禁じる内容とした。一方で、取引や利用実績に連動する形の報酬は認める方向で調整した。

この条項を巡っては、すでに審議が一度足踏みしている。1月には、Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOが収益禁止規定に反発して支持を撤回し、その後の審議は無期限延期となった。その後、Tom Tillis上院議員とAngela Alsobrooks上院議員が調整に乗り出し、5月1日に折衷案がまとまった。

企業側の受け止めも割れている。CoinbaseとCircleは、取引や利用に連動した報酬を認める今回の枠組みを支持している。一方、労働界は、一部に修正が加えられても法案の基本的な方向性は変わっていないとみる。保護措置が不十分なまま市場拡大を認めれば、金融システム全体の安定を損なう可能性があるという立場だ。

14日の上院銀行委員会の審議は、米国の暗号資産規制の方向性と投資家保護の水準を占う重要局面となる見通しだ。労働界が退職年金と貯蓄へのリスクを前面に押し出したことで、修正草案がこうした懸念にどこまで応えられるかが焦点となりそうだ。

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