ビットコイン先物の資金調達率(ファンディングレート)がプラス圏に戻り、短期筋の強気姿勢が持ち直している。一方で、米上場のビットコイン現物ETFでは資金流出が続き、オプション市場でも下値への警戒感が根強い。市場では、価格が8万5000ドルを回復できるかどうかは、現物ETFへの資金流入が戻るかにかかっているとの見方が強い。
Cointelegraphによると、12日までの時点でビットコインは1週間超にわたり8万ドル近辺を維持。この間、永久先物の年率換算ファンディングレートは約1カ月ぶりに中立圏から強気寄りの水準へ持ち直した。
ビットコインの永久先物の年率換算ファンディングレートは一時6%まで上昇した。足元まではおおむねマイナス圏で推移していたことを踏まえると、上昇期待は戻りつつある。ただ、相場参加者の慎重姿勢が完全に後退したわけではない。
現物市場では、米上場のビットコイン現物ETFの資金フローが重荷となっている。現物ETFは8日と9日に純流出を記録した。市場では、現物ETFの資金動向を機関投資家需要の代表的な指標とみる向きが強い。ビットコインが8万2000ドル台の突破に複数回失敗した局面と資金流出が重なり、警戒感が強まった。
デリバティブ市場でも慎重な見方は続く。ビットコインオプションの30日デルタ・スキューは12日時点で10%と、前週と同水準だった。プットがコールより高いプレミアムで取引されていることを意味し、大口投資家やマーケットメーカーがなお下値リスクに警戒的であることを示している。
一方、マイニング関連の指標は異なる動きを見せた。ビットコインのハッシュレートは4月26日に8週間ぶりの低水準まで落ち込んだものの、5月に入って持ち直した。ネットワークの計算能力はこの2週間で5%増え、970エクサハッシュ毎秒(EH/s)まで上昇した。過去最高の1150EH/sには届いていないが、一部マイニング企業がAIインフラへ軸足を移すことでネットワーク離脱が進むとの懸念は和らいだ。
実際、AI分野へのシフトは市場の別の変数としても意識されている。Irenは9日、NVIDIAとの340億ドル規模の契約を発表した。Core Scientificも、米オクラホマ州マスコギーのキャンパス拡張計画を明らかにしている。ただ、ハッシュレートの反発は、マイニング業界がビットコインネットワークから全面的に離れているわけではないことを示した。市場では、マイナーがAI事業へ移行してネットワークを見限るとの懸念は行き過ぎだったとの見方も出ている。
マクロ環境もなお不安材料だ。ブレント原油価格は12日、1バレル105ドルを上回った。イランを巡る軍事衝突の影響で、ホルムズ海峡が部分的に閉鎖されたことが背景にある。ドナルド・トランプ米大統領はイランの最近の要求について「全面的に受け入れられない」と述べ、ベンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相は、濃縮ウランの備蓄分が除去されるまで衝突は終わらないとの認識を示した。こうした地政学リスクは、リスク資産全般の投資家心理を冷やしかねない。
企業によるビットコイン購入は相場の下支え要因となった。Strategyは1週間購入を停止した後、4300万ドル相当のビットコインを買い増したと公表した。購入資金は自社株売却で賄ったという。企業財務の一環としての需要が続いている点は、現物ETFの不振とは対照的だ。
市場では、ビットコインが8万5000ドルを再び試すには、現物ETFへの資金流入回復が不可欠との見方が優勢だ。先物のファンディングレートは改善したものの、オプション市場にはなお防御的な姿勢が残り、現物ETFも直近では純流出となった。今週、現物ETFに新たな資金流入が戻れば、ビットコインの一段高を促す材料となる可能性がある。