ビットコイン(BTC)が2月の安値から約40%上昇した後も、1000BTC規模のショートを維持する大口投資家に市場の視線が集まっている。ポジションの評価損は約1300万ドルに達したが、当該投資家は弱気スタンスを崩していない。
Cointelegraphが12日(現地時間)に報じたところによると、「pension-usdt.eth」として知られるウォレットは、約8106万ドル相当のビットコインのショートポジションを3倍のクロスレバレッジで保有している。建値は1BTC=6万7990ドルだった。
ビットコインがその後8万1000〜8万2000ドルまで上昇したことで、含み損は約1300万ドルに膨らんだ。同ウォレットはこのほか、約4610万ドル相当の2万ETHのショートも抱えており、弱気ポジションの総額は1億2700万ドルを超える。
もっとも、ファンディング収入として12万5000ドル超を確保しているものの、未実現損失を大きく相殺する水準には達していない。
市場の注目を集める背景には、このウォレットの過去の取引実績がある。Lookonchainは4月、当該ウォレットが20連勝を記録し、勝率は85%を超えると伝えていた。
それでも本人はSNSで、ショートポジションを引き続き維持しており、この取引判断は妥当だとの見方を示した。
こうした弱気姿勢の背景には、ビットコインが強い抵抗帯に差し掛かっているとの見方がある。市場が注視するのは8万2430ドル近辺で、この水準には200日単純移動平均線と、上昇ウェッジの上限が重なる。
上昇ウェッジが下放れすれば、ビットコインは7万1500ドル付近まで下落する可能性があるとの見方もある。この場合、1000BTCのショートポジションの評価損は約350万ドルまで縮小する計算だ。
弱気派の一部は、さらに大きな下落余地も指摘する。Crypto Kidは、過去2回の類似した再テスト局面では4年周期で平均68%の下落が見られたとし、同様のパターンが再現されれば、ビットコインが3万ドルを下回る可能性もあると述べた。
その場合、この大口投資家のビットコイン・ショートは約3800万ドルの利益圏に入るとの見通しも示している。
一方で強気派は、今回の相場は過去の弱気相場とは局面が異なるとみる。アナリストのCRGは、2022年の弱気相場ではビットコインが一目均衡表の雲の上で日足終値を維持できなかった一方、2026年5月以降は雲の上で安定して推移しているとして、「新たな強気相場の始まりを示すシグナル」と評価した。
機関投資家の資金需要も強気材料とされる。The Bitcoin Bond CompanyのCEO、ピエール・ロシャールは、今回の弱含みは過去のサイクルと切り離して考えるべきだと主張。現物ETFへの資金流入に加え、ビットコイン保有企業による継続的な買い増しを支援材料に挙げた。
予測市場のKalshiは、2026年中にビットコインが10万ドルに達する確率を50%と見込む。ただ、この大口投資家が持つ約8100万ドル規模のビットコイン・ショートは、BTC価格が10万810ドルに達すると全量が清算される。
短期的な調整が入るのか、それとも機関マネーの流入を追い風に上昇基調が続くのか。市場の次の焦点となりそうだ。